6話 午後七時四十八分 ページ10
俺たちは今、任務で山登りをしている。
とはいっても、山を登ることが任務なのではなく、この山のどこかにいるという鬼を斬ることが任務なのだ。
『頑張ろうね、炭治郎!』
「ああ!」
Aの笑顔を見ると何故か落ち着く気がする。
そういえばAも前に同じようなことを言っていたような…
"炭治郎の傍にいると落ち着くなぁ"
……俺と居ると落ち着くのか、そうか
「どっちが先に鬼を消せるか勝負だ!!!権八郎!!
……なにニヤついてんだ!」
「炭治郎だ! あとニヤついてなんかないぞ!!」
"ニヤついてる!" "ニヤついてない!" で言い合いが始まる。
しばらく言い合っていると、Aがすっと手を挙げて言った。
『あのぅ… さっきから善逸が病んでるみたいなんだけど…』
言い合いをやめ、Aの方へ視線を向けると善逸が、困り顔のAちゃんの腰にしがみついてひたすら何か呟いていた。
「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ…」
これは…いつも以上に任務嫌がってるな…。
…って! Aに抱きつくな!
「善逸!Aが困っているだろ!離れろ…っ!」
思いっきり引っ張って剥がそうとすると、善逸はさらに強くAにしがみついた。
「嫌だ!!!嫌だ怖い死ぬ!!俺には分かるんだ"今日俺は死ぬ"んだぁぁあ…!!!
…もうこれしかない!Aちゃん、駆け落ちしよう」
「なっなに言ってるんだ!そんなこと絶対にさせないぞ!」
それに"今日死ぬ"って……
未来予知でもしたのか?
"善逸、しっかりしろ!!!ぜんっ………ぁ…"
言った覚えのない言葉が脳内で再生された。
なんだ?今の……
Aは善逸の肩に手を置くと言った。
『善逸は強いから死なないよ。
でももし危なくなったら私が守るから!安心して!』
「ほ、ほんと…?」
『うん!本当だよ! …"次"は守り抜くから』
"次"……?
善逸はAの言葉に疑問を抱かず喜んでいる。
Aが言った"次"からは、なんとなく責任感…というか、命の重さが感じられた。
もしかしてAは俺の知らないところで、一人では背負いきれない何かを全て一人で背負いこんで、辛い思いをしているのかもしれない。
……Aが善逸を守るなら、俺はAを守ろう。
少しでも傷つかずに済むように。
それが今彼女のために俺ができる最善のことだ。
111人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めでぃ - はっ!あの??視点って誰かわかりました!! (2019年11月21日 7時) (レス) id: 44879474c1 (このIDを非表示/違反報告)
ただのアニメ好き☆(プロフ) - ああぁあぁああ...切ないですぅぅ...泣 お話が素敵すぎて思わず感情移入してしまいました泣 更新お疲れ様です!体調に気をつけてまた更新頑張ってください! (2019年9月12日 0時) (レス) id: 4ee9350697 (このIDを非表示/違反報告)
舞菜(プロフ) - ただのアニメ好き☆さん» 新作の方も見に来てくださってありがとうございます!嬉しいです(〃ω〃) これからも読みやすい文章を心がけて更新頑張るので、楽しみにしていてください! (2019年9月6日 0時) (レス) id: 1e7a191f2a (このIDを非表示/違反報告)
ただのアニメ好き☆(プロフ) - お話とっても魅力的ですね!読むうちにどんどん引き込まれてしまいました!体調に気をつけて更新頑張ってください!応援しています! (2019年9月5日 1時) (レス) id: 4ee9350697 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:舞菜 | 作成日時:2019年9月3日 0時