どうか、覚えていて【竈門炭治郎】

24話 午後十時二十分 ページ29

【貴方視点】


「クソッ！！！！オイどうすればいいんだ！！
全然止まらねぇぞ！！！」


「伊之助もっと押さえて！！！Aちゃん！！Aちゃん！！…どうしよう止血帯が足りないッ！！！」


「む…ぅううう！！」







みんなの声が聞こえる。
重たい瞼を押し上げ、ゆっくり目を開ける。


血を失いすぎたのか、みんなの顔がはっきり見えないし、体に力が入らない。







私はもうすぐ死ぬのだろう。









目を開けた私に一番早く気付いた伊之助が、みんなを呼ぶ。

駆け寄ってきたみんなは、安堵の表情だったり泣きそうな表情だったり。









そんなみんなの顔を見て思った。









……ああ、神様が最後にみんなとお話しする時間をくださったんだわ。きっと。









『みんな……私のこと、忘れ…』

「やめてくれ！！Aは死んだりなんかしない！！！だからっ！！」








ああやめて炭治郎、そんな顔しないで。
そんな顔で私の名前を呼ばないで。





生きたくなっちゃうでしょ。





でも、また繰り返したところで結果は同じ。
みんなが傷ついたり、惨殺されるところはもう見たくない。







けど、できることならば、生きたい。
生きたい生きたい生きたい…生きたかった。みんなと。








血を吐いた。身体中が痛い、苦しい。
みんなの縋るような目も…苦しい。






早く楽になりたい……







『ね、炭治郎……お願い、が…あるの』

「なんだ！！なんでも言ってくれ！！！」



.








.









.









.









.


『痛いの…苦しいの……お願い、もう楽にして…』






私を ______殺して。

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