どうか、覚えていて【竈門炭治郎】

22話 午後八時五十九分 ページ27

【貴方目線】


「ははは、まさか鬼殺隊が来るなんてなァ、久々に手応えのある戦いになりそうだ！！」


『……もう貴方の声は聞き飽きちゃったなぁ』







みんなが死ぬところはもう見たくない。
だから一人で鬼を倒しに来た。








だけど、私が予知した"私の最期"……
みんなは私の傍にいた。


つまり、全て予知した通りになるのだとしたら、
私が今一人で戦っていたのだとしても、後でみんな助けに来てくれちゃうんだろうな。









彼らはそういう人たちだから。








善逸は嫌々言いながらもいつも守ってくれるし、
伊之助の真っ直ぐさにはいつも助けられる。

炭治郎は……人のために涙を流せる人、強い心を持っていて誰よりも優しい。








だから____








「A！！」






鬼と私の間に突然伊之助が滑り込んできた。
少し遅れて炭治郎と善逸も走ってきた。



思っていたよりだいぶ早い登場に驚いた。






『みんな……』







来てくれたことが嬉しく感じるのと同時に、
どんな行動をしても、やはり予知した通りになってしまうんだなと痛感した。




「Aっっ！！…間に合ってよかった…っ」


「A、お前一人だけ強ぇ鬼と戦うなんてずりぃぞ！！！俺もまぜろっ！！」


「俺っ、Aちゃんのために頑張るから！！！
一緒に戦わせてよ！！」









肩で息をする彼ら。






私のために駆けつけてきてくれたのだと思うと、
やはり嬉しかった。この人たちが愛おしいと思った。







目の前の、優しい彼らの姿を目に焼き付ける。








彼らが私のことを忘れたとしても、私は、私だけはいつまでも覚えていられるように。

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