15話 十一月五日 午後九時三十二分 ページ19
【貴方目線】
「A…!!!!」
炭治郎の叫び声が聞こえた。
不思議と痛みは感じなかった。
それよりも一人で死んでいく寂しさ、
仲間に存在を忘れられる恐怖のほうが大きかった。
ああ、これで終わりか……
任務中なのにも関わらず、炭治郎は戦っていた鬼に背を向けて、私の所に駆け寄ってきた。
「A!!Aッ!!!」
『だめじゃない…たんじろ…まだ、任務中なの…に』
炭治郎と私の方に鬼が来ないように、向こうで善逸と伊之助が時々こちらを気にしながら、必死に戦っているのが見える。
『大丈夫、私は大丈夫…だから。早く、二人のところに…』
「何が大丈夫なんだ!!どう見ても致命傷だぞ!!!」
『…こうなることは、決まっていたの、だから…大丈夫』
どういうことだ、と声を荒げる炭治郎に、私は端的に運命のことについて話した。
口を動かすたびに血が失われていく。
体の感覚がなくなってきて、頭がぼんやりとしてきた。
……もう時間がない。
『炭治郎、私のこと忘れな…』
「戻して」
え…?
「時間、戻せるんだよな?
時間を戻して俺たちを助けてくれたみたいに、Aも!!」
無理だよ。これは決まっていることなんだ。
それに、時間を戻したら私が死にかけていたことも忘れちゃうんだよ?
同じ結果になるのが目に見えてる。
「絶対守ってみせるから!!だから!!!」
炭治郎…
「たのむ…頼むから死なないでくれ……っ」
そう言って唇を噛み締めて泣き始めた。
血が滲むほどギュって噛み締めて。
……。
『たんじろう、……刀…』
私がそう言うと炭治郎は、ばっと顔を上げ、私の日輪刀を拾って手渡してくれた。
貴方が生きてほしいと思ってくれてるのなら……
もう一度……
『時の呼吸 禁忌 起死回生____…』
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めでぃ - はっ!あの??視点って誰かわかりました!! (2019年11月21日 7時) (レス) id: 44879474c1 (このIDを非表示/違反報告)
ただのアニメ好き☆(プロフ) - ああぁあぁああ...切ないですぅぅ...泣 お話が素敵すぎて思わず感情移入してしまいました泣 更新お疲れ様です!体調に気をつけてまた更新頑張ってください! (2019年9月12日 0時) (レス) id: 4ee9350697 (このIDを非表示/違反報告)
舞菜(プロフ) - ただのアニメ好き☆さん» 新作の方も見に来てくださってありがとうございます!嬉しいです(〃ω〃) これからも読みやすい文章を心がけて更新頑張るので、楽しみにしていてください! (2019年9月6日 0時) (レス) id: 1e7a191f2a (このIDを非表示/違反報告)
ただのアニメ好き☆(プロフ) - お話とっても魅力的ですね!読むうちにどんどん引き込まれてしまいました!体調に気をつけて更新頑張ってください!応援しています! (2019年9月5日 1時) (レス) id: 4ee9350697 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:舞菜 | 作成日時:2019年9月3日 0時