闇病み ページ48
「...学校？」
ドさんが独り言のように呟いて、そびえ立つ建物を見上げた。
「あーはい、確か小学校...」
「ふ〜ん」
「真っ暗な学校って異様な迫力ありません？」
「ありますね。嫌いじゃないけど。」
「...あ、もし戻れるなら、小・中・高、どの時代に戻りたいですか？」
明るく聞いた途端、ドさんは口を閉ざして無言タイムに入った。
「......前世」
質問を無視されたかと思う程長い沈黙を経て、ドさんがボソッと呟いた。
どうやら私はさっきから、無意識に彼の闇を引っ張り出してるらしい。
「...前世で徳を積めば、現世は良い人生になるはずだから」
「ぁ、あ〜...」
私は頷きながらとりあえず声を出した。
もう、あーとかへーとかしか返せない...。
「...あ、公園とかあるんですね」
ドさんが足を止めた。
ベンチとブランコだけが置いてある、小さな公園。
ドさんはふらっと敷地内に入った。
私は立ち止まったままその背中を見守っていた。
ドさんはどんどん歩いて行き、やがて暗闇に消えた。
本当に闇に飲み込まれたように思えて、私は慌ててその場から動き出す。
後を追うと、ドさんであろう人影がベンチに腰掛けていた。
夜間ライトなど無い真っ暗な公園は、怖い。
頼りにしたいドさんも、ぼやっと黒い人の形にしか見えなくて、不安が募る。
早くここから出たいのに、ドさんはただ静かにそこにいて動かない。
仕方無くドさんの隣に腰を下ろした。
「怖くないですか？」
聞くと。
「全然」
そう返って来た。
「暗闇の中って妙に安心します」
...ダメだ。
ドさんがなぜか、病みモードに入ってしまった気配。
「誰も俺の事が見えないし、俺も見なくていいし」
困った...。
ドさんが遠くへ行こうとしてる。
独りになろうとしてる。
...ちょっと。
置いてかないでくださいよ。
「私は見えてますよ」
かなりぼんやりと、だけど。
「...ユンさんになら、見られてもいいかな」
...えっ？
「...っ、」
私の髪に、何かが触れた。
そっと撫でるように。
「怖いですか？」
今度はドさんが聞く。
「...暗いのは、怖いです」
「じゃあ、俺の手、つかまって」
心臓が早鐘を打つ。
ドクドクドクドク。
苦しい...。
私は左手を浮かせて、ドさんの手を探した。
指先が触れた途端、ぱっと握られた、私の手。
ダイレクトに伝わって来る、ドさんの手の熱。
「...怖いの、和らぎました？」
「はい」
「もう少しだけ、ここで話してても平気ですか」
「...はい」
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nico(プロフ) - あーこさん» 初めまして！コメントすごく嬉しいです。ありがとうございます！ひゃ〜キュンキュンしてもらえて良かったです…！まだもう少し続きますのでよろしくお願いします(^-^)頑張ります！ (2017年9月2日 21時) (
レス) id: ff69cf6a49 (このIDを非表示/違反報告)
あーこ(プロフ) - 初めましてコメさせていただきます^ ^ 久しぶりにお腹の奥がキュゥーっと痛む感覚のキュンキュンさを感じてます…！ 寝るのも忘れて一気読みしてしまいました。まだこの小説終わって欲しくないです〜（ ; ; ） 応援してます！ (2017年9月2日 10時) (レス) id: ecfd3f6e56 (このIDを非表示/違反報告)
nico(プロフ) - himeさん» うわあ(T-T)嬉しいです…主人公の気持ちと共鳴してもらえたらもう本望です。ありがとうございます^_^ (2017年4月16日 1時) (レス) id: ff69cf6a49 (このIDを非表示/違反報告)
hime(プロフ) - ほんとに、このギョンスにいちいちときめきます(笑)毎回楽しみにしてます♪ (2017年4月16日 1時) (レス) id: 1f8feccce8 (このIDを非表示/違反報告)
nico(プロフ) - あやさん» ベッキョンは笑顔が一番、ほんとそう思います。ハッピーエンドか否かは、ギョンスが素直になれるかどうかにかかってますね…（´-`） (2017年4月14日 22時) (レス) id: ff69cf6a49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nico | 作成日時：2017年2月7日 20時
