まさか ページ31
「いらっしゃいませー」
スタッフの女の子達の高い声がキレイに重なった。
なんとなく顔を上げて、キッチンの窓越しにホールを覗いた。
一瞬、呼吸も心臓も止まった。
ドさんが、席へ誘導されて歩いて行く。
さっと頭を軽く引っ込めた。
感じる心臓の早鐘。
なんで？なんで？なんで？
そればっかりが頭いっぱい埋め尽くす。
一人だった。
もう一度確認するために何気なく首を伸ばして外を覗く。
やっぱり一人だ。
どうしよう。
どうしたらいい？
顔が見たい。
話したい。
でもウザがられたらどうしよう。
でも来てくれたし。
お礼言うくらい、いいんじゃない？
挨拶しない方が逆に失礼でしょ。
でもでも...
「...ユンさん？」
「あ、は、はいっ」
「...それ、盛り過ぎじゃない？」
「え？...あっ！」
気付くと、量りに乗せたボールの中に粉がこんもり山になっていた。
「すみませんっ」
危うく計量ミスするところだった。
かなり動揺してる。
だって、だってまさか来るとは思わなかったから。
ふっと短く息を吐いた。
よし。
決めた。
私がここで働いてるのはもちろん知ってるわけだから。
じゃあ、私と会うかもしれないって、想定内って事で。
いいですよね！？
「...すみません、知り合いが来てるみたいで。後で挨拶してきてもいいですか？」
「おーいいよ。知り合い？」
ジュンミョンさんがホールを覗く。
「...あ、ギョンス君？」
振り返った彼に、私は頷いた。
「今日はひとりなんだね。」
「そうですね。」
「じゃあ俺もちょっと。」
そう言って、ジュンミョンさんはホールへ出て行った。
気になってこっそり身を屈めながら外を覗いた。
ドさんの後ろ姿。
笑顔で話してるジュンミョンさんを見上げてる後頭部。
なんか髪がさっぱりしてる。切ったのかな？
あー...後ろ姿もかっこいい...。
はっと我に返って、作業に戻った。
これを切り上げたら、私も行かなくちゃ。
思い立って素早く奥に移動して壁掛け鏡を覗いた。
顔に何も付いてないかを確認して作業場に戻ると、丁度ジュンミョンさんが帰って来た。
「ここのケーキほんとに気に入ってるみたいだね。」
そう言って笑った。
「何を食べてるんですか？」
「ショコラとアップルパイ。もうひとついきたかったけど断念したって。」
「３つはさすがに無理でしょ〜」
私も笑いながら言う。
でも心臓はバクバク暴れていた。
何を話そう？
ああ、本当に緊張する...！
久々に、ドさんと話せるんだ...。
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nico(プロフ) - あーこさん» 初めまして！コメントすごく嬉しいです。ありがとうございます！ひゃ〜キュンキュンしてもらえて良かったです…！まだもう少し続きますのでよろしくお願いします(^-^)頑張ります！ (2017年9月2日 21時) (
レス) id: ff69cf6a49 (このIDを非表示/違反報告)
あーこ(プロフ) - 初めましてコメさせていただきます^ ^ 久しぶりにお腹の奥がキュゥーっと痛む感覚のキュンキュンさを感じてます…！ 寝るのも忘れて一気読みしてしまいました。まだこの小説終わって欲しくないです〜（ ; ; ） 応援してます！ (2017年9月2日 10時) (レス) id: ecfd3f6e56 (このIDを非表示/違反報告)
nico(プロフ) - himeさん» うわあ(T-T)嬉しいです…主人公の気持ちと共鳴してもらえたらもう本望です。ありがとうございます^_^ (2017年4月16日 1時) (レス) id: ff69cf6a49 (このIDを非表示/違反報告)
hime(プロフ) - ほんとに、このギョンスにいちいちときめきます(笑)毎回楽しみにしてます♪ (2017年4月16日 1時) (レス) id: 1f8feccce8 (このIDを非表示/違反報告)
nico(プロフ) - あやさん» ベッキョンは笑顔が一番、ほんとそう思います。ハッピーエンドか否かは、ギョンスが素直になれるかどうかにかかってますね…（´-`） (2017年4月14日 22時) (レス) id: ff69cf6a49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nico | 作成日時：2017年2月7日 20時
