大切なものには気付きにくい

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時計の針は午後6時。

仕事終わり！

帰ろうとデスクの上を片付けてる時。



『宮本、お疲れ。これやるよ』


ポイッとデスクに投げられたのは箱に入ったチョコレート。


「樹さん！ありがとうございます！」


『俺、甘いもの嫌いだから。食べてくれて助かる』


樹さんは甘いものが苦手、っと。

脳内のメモに記録する。

田中樹さん。

同じ部署の先輩。

イケメンで優しくて・・・

女性社員からかなりモテてる。

そんな私も例外ではなく。

入社当時から彼に片思いをしているのだ。

まぁ、あんなにモテモテな人だ。

可能性は限りなくゼロに近い。

でも話すたびに浮かれて

なかなか諦めきれずズルズルと今まで想い続けてきた。

樹さんに貰ったチョコを眺める。



「なにニヤニヤしてんの？気色わる〜。」


「うるさいな・・・。勝手にこっち見ないでくれる？」


「じゃあ人前でニヤつかないでくれる？別に見たくて見てるわけじゃないんだけど。」



こいつは松村北斗。

同期で、部署も同じ、おまけにデスクも隣。

何かにつけて私に文句をつけてくる。

ムカつくことに業績は優秀で

しかもこいつもまたイケメン・・・

樹さんに負けないぐらいの人気があるらしい。

なんでこいつが・・・！

性格は最悪なのに。


「今心の中で悪口言ってるだろ。」


「べ、別に言ってないしっ！」


「性格悪い女は嫌われるぞ。じゃ、お先。」



くーーーーーっ！！！！

腹立つ！

あんたに言われたくない！

デスクを離れる松村の背中に

ベエッと小さく舌を出した。

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