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〜purple〜
「‥‥しんちゃん、起きてぇ、もう着くって。
しんちゃん? な〜あ〜、起きてぇやぁ‥‥‥」
俺の腕を掴む小ちゃい手ぇの感覚がして、
そっと揺すってくるのに意識が浮上した。
一生懸命起こそうとしとるんが可愛くて、
もうちょい寝たフリしたろか思てんけどな、
ヤバイことになりそうやから起きたった。
「んー、やすぅ、おはよぉさん。」
「おはよぉ。てか朝も言うてんから2回目やね。」
「せやったな〜。」 伸びー!
同じように体を伸ばしながら、やすは言う。
「結構寝れたし、明日までオールで遊べるで!
楽しもな♪」
‥‥‥さっきの、寝起き特有の少し掠れた声、
舌足らずの喋り方に、俺の息子が反応しかけたっちゅーのんは、絶対言わんとこ‥‥‥。
☆
さて!今回の旅のプランを説明せんとな!
やすは、いつもやったら、コッチの友人たちとワイワイするんやろうけど、今回は潜らんし、ふたり旅のつもりや。
普段は行かへんようなとこ行ってみたり、宿もプライベートビーチがある隠れ家的なとこにしたしな。
水族館だけはマストで行こう思ぅてて、あとは気の向くままに〜って感じなんやけど‥‥‥。
俺の話を、ふむふむ頷きながら聞いてくれてたやすは、
「‥‥‥うん、たまにはそんなんもええな♪」
って、笑うてくれたけど、一寸の間が気になるわ。やっぱ物足りんのやろな‥‥‥。
そんな思い、口には出てないはずやのに、
「しんちゃん? おれは、しんちゃんと一緒やったら、なーんでも嬉しいで?」
!!
あぁもう!
こいつを癒したろう思うて来たのに、まーた気ぃ遣わせてもーてる!!
自分の不甲斐なさを誤魔化したくて、ワンコにするみたいに、やすの髪をわしゃわしゃかき混ぜたった。
「ちょ!なにぃ? ぐしゃぐしゃなるやん!」
「ぐしゃぐしゃにしてんねん!」
「ぐふふっ。」
気色悪い笑い方やめぇよ!
早いとこ車借りて出発するでっ!!
☆
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作者名:たろ | 作成日時:2019年6月25日 16時