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sideA
……そうだ、忘れてた。
校長の長い長い動物愛護談が終わって、
クラスで写真を撮って、来年もまた同じクラスになれるといいね、とか言い合って、
どうしよう、神楽を誘って帰ろうか、なんて考えてたら、
そもそも私、日直日誌書き終わってないからまだ帰れないじゃん。
だから終業式の日に日直なんて嫌だったんだよ。
机は全部廊下に出しちゃったから、
みんなが帰っていくのを眺めながら教卓で日直日誌を書くために、仕方なく筆箱を開く。
……つくづく、自分でもバカだと思う。
言ってることとやってることがちぐはぐ。
筆箱の中で、ペン達にもまれたチワワ。
筆箱の外につける度胸はなくて、
でも捨てられなくて、結局こんなところに収まってしまった。
……いかんいかん。さっさと終わらせて帰ろう。
1時間目の欄に終業式、と書いて、矢印を四時間目まで引っ張る。
午前中で帰るわけだし、これでいいよね。
ただ、日直日誌はここからが面倒くさい。
今日の目標とか、今日の感想とか、最近あったニュースとか、
交換日記かよ、てくらいバラエティ豊富な質問がある。
今日の目標か……もう今日終わっちゃったしな……
一番最後の今日の感想の欄に到達することには、もうみんな教室からいなくなってた。
今日の感想。
……今日も私は動けなかった。
じゃなくて、ハタの話長すぎた。とかでいいか。
よし、これでまっちゃんに提出したら、さっさと帰ろう。
「___オメェ、まだいたのかィ。」
『え?』
声の方へ目をやれば、リュックを背負った沖田。
なんで帰ってないの。
『日直日誌書いてた。』
「ふーん。」
『そっちは?』
「来年の幹部の件でとっつぁんに呼び出し食らってた。」
『あ、じゃあ今まっちゃんどこに……』
沖田が私の話なんて聞いてないような素振りで、教卓の前まで歩いてくる。
久しぶりに目をまっすぐ見つめられて、何も言えなくなる。
沈黙が続く。
ちぐはぐだ。
また、私は沖田の目を見てる。
でも、折れずに神楽と喧嘩を続けてる。
でも、チワワを捨てられずにいる。
本当、何してんだ。
『……まっちゃん、どこにいる?』
「……体育教師用の教員室みてェなとこ。」
『ありがと。』
第二とか第三教員室とか、そんな感じか。
足早に教室を去る。
もうまっすぐ立っていられない気がする。
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とと - 最高でした!言葉に表せないくらいです。お疲れ様でした。番外編期待しちゃっていいですか? (2020年11月8日 1時) (レス) id: 204f45673b (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - チノちゃんさん» ずっと待っていてくださったなんて、ありがとうございます、お待たせしてしまいましたね、、あと少しの間の更新も、よろしくお願いします! (2020年9月12日 10時) (レス) id: 03670ff2ec (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - サクラさん» せっかくのコメントに直ぐにお返事出来ずすみません(*_*)ありがとうございます、励みになります、、!! (2020年9月12日 10時) (レス) id: 03670ff2ec (このIDを非表示/違反報告)
チノちゃん(プロフ) - きゃぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁあついについに(泣)長かったここまで来るのにずっとずっと楽しみにしてましたァ(´TωT`)もう好きですぅぅぅ (2020年9月12日 8時) (レス) id: 5e7e485832 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - ずっと楽しみに読ませてもらってます!この作品大好きで更新楽しみにしてます! (2020年9月11日 20時) (レス) id: 319352fe0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ニコ | 作成日時:2020年9月3日 3時