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side沖田
「か、神威先輩!!」
「先輩?こいつら、神威の高校の人達?」
「らしいね、知らないけど。」
この、カムイ、とかいうやつと、Aは知り合いらしい。
そして、このカムイ、は、ヤンキーの高校のなかでもなかなか強いらしい。
「神威先輩、あの、す、すみませ__」
「いーから、さっさと消えてくんない?」
こいつ、終始、笑ってるのに笑ってねェ。
笑顔が表面的だ。
さっきまでひたすらメンチ切ってた腰巾着たちも、親分を引きずりながら必死に逃げていく。
「久しぶり、A。元気だった?」
「え?あ、う、うん?」
「なんかごめんね、うちの高校の奴らが。」
「いや、全然、私は大丈夫だけど……」
Aがちらっと、俺の方を見る。
こいつ、Aばっかり見て、俺のことは全く見やがらねェ。
「そっか、それはよかったよ。
でも、あれくらいAなら倒せたでしょ。
邪魔しちゃったかな。」
「さすがにあの数は……もう私空手やってないし。
ていうか、戦って喜ぶのあんたくらいだから!!」
「ほんと、残念だよね。
剣道の兄、空手の妹で有名だったのになあ。
お兄さんは元気なの?」
「銀ちゃんも元気だよ、たまに飲みすぎて帰ってくるけど。」
「ふーん。」
__こいつの事が全く読めねェ。
会話は当たり障りない、なのに、何考えてるかわかりゃらしねェ。
俺はただひたすら、こいつの表情を眺める。
「まあ、じゃあ俺そろそろ行くよ。
たまたま通りかかっただけだしね。」
「あ、うん、ばいばい。」
Aが若干の困惑を見せながら手を振った。
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「あ、そうだ!!
助けてくれてありがとう!!」
手をひらひら振って歩き出した神威が、また振かえる。
「どういたしまして。
あ、俺からももう1つ。
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それ、彼氏?」
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少しだけ、世界が揺れた。
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「え?いや、違うけど……」
「ああ、そう。じゃあいいや。
じゃあまた今度、遊びに行くね。」
俺の話を切り出した時ですら合わなかった目が、
去り際、ようやく俺をとらえた。
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作者名:ニコ | 作成日時:2020年4月3日 10時