青城三年、馬鹿五人

日常２９ ページ30

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｢ついに…この日がやってきたな。｣



花巻がそう真剣な顔で呟いた。今は朝のホームルーム前。及川と松川が居ない中、私と岩泉と花巻は三人で話していた。




｢何言ってんだ。今日はただの平日だろ。｣


｢何言ってんだ岩泉。今日が何の日か知らねぇの？バレンタインだよバレンタインデー！！｣




今日は２月１４日。ショッピングモールも学校もバレンタイン一色に染まるこの時期。及川と松川は女の子からのチョコを貰うのに精一杯らしい。





｢なんで松はあんなもらえてんの？？｣


｢大人っぽい綺麗なオネーサン達が校門前で待ち伏せしてたでしょ。多分あれ、八割松川待ちだったんじゃない？｣


｢岩泉、及川は？｣


｢クソ川は後輩に絡まれてる。｣






うっざーーー。と叫ぶ花巻。と、その声と同時に予鈴がなった。また放課後な、と私達は放課後も集まることを決めた。









放課後、私達は花巻の教室に集まった。バレンタインだから告白やデートでもしに行っているのか、他の生徒は少ない。





｢バレンタインデー選手権をしよう。｣


｢急すぎる。｣





状況がイマイチ掴めていない及川。簡単に言えば、チョコの数で勝負をしようという選手権だ。





｢じゃあ、はい。松川。チョコいくつ？｣


｢んー、分かんないけど多分５０くらい？｣


｢初っ端からすごい飛ばすじゃん。｣





想像以上の多さに、私は驚く。なんでも先輩達がいなくなっから、先輩達が怖くて渡せなかった同級生や後輩達が渡してくるようになったらしい。勿論先輩達もくれたらしいが。





｢岩泉は？｣


｢２３。｣


｢普通に多いね。｣





普段から人に優しい岩泉の事だから、密かに思いを寄せている人も少なくはないらしい。





｢あ、ちなみに俺に腕相撲挑んできた三組の女子がチョコくれたぞ。｣


｢トオル様女の子とられてて笑う。｣


｢うるさいよマッキー！｣


｢もう分かりきってるけど、及川はいくつ？｣





そう聞くと、及川は紙袋に収まりきらないほどのチョコレートを見せてきた。多すぎだろ。





｢いくつか分かる？｣


｢もう多すぎるから分かんない。１００くらいは貰ってるかもね☆｣


｢うざ。｣






多分部室前に未だ置いてある、及川への差し入れ用の箱、通称｢及川さんボックス｣にもチョコが入っているんだろう。ここまでモテると呪われているのではないか、とも思う。






｢はい、最後花巻。｣


｢………｣




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