青城三年、馬鹿五人

日常２１ ページ22

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再び角から出てきた人とぶつかる。前見て歩いているはずなのに、自分は人から見えないほど身長が低いのか？いや、平均身長だろう。ならば、今日は運の悪い日だ。






｢あれ、Aさん。｣





その久しぶりに聞く声に顔を上げると、私がぶつかったのはつい先程まで噂をしていた影山飛雄だった。及川と会った帰りだろうか。




｢久しぶり。ぶつかってごめん。｣


｢全然大丈夫っす。むしろ嬉しいです。｣





ぶつかられて嬉しい？影山ってドMだったんだろうか。まぁ、及川に嫌われてるのに話しかけに行くぐらいだからドMなのか。





｢Aさん、やっぱ綺麗っスね。｣


｢えっ、そう？｣





影山は昔から女子と話すのがあまり得意でないというイメージを持っていたのだけれど、こんなことを言える程に成長したのか。

高校生になって女で遊び始めたのか、それとも心から綺麗になったと思ってくれているのか。




まぁ、何にせよ。






｢影山、及川みたいに女の子にモテるからって自惚れちゃだめだからね。｣


｢俺、女子にモテないっすよ。｣


｢そう思ってるだけだから。絶対影山のことかっこいいと思ってる子いるから。｣





イマイチ私の言葉にピンと来ていない様子の影山。相変わらずこういうことに疎いらしい。





｢Aさんは、俺のことかっこいいと思いますか？｣


｢バレーしてるところかっこいいよ。｣





影山セッターだし。やはりセッターは主導権を握っているようなイメージがあってかっこよく見える。影山は飛び抜けて才能があるから練習試合の時も、やはり目を惹かれた。





｢それが聞けたんで満足っす。ありがとうございました。失礼しゃす。｣


｢ん、じゃあね。｣




そういって、歩き出した影山。私も影山に背を向けて歩き出した。




｢あ、Aさん。｣


｢ん？｣





振り返ると、影山は真剣な顔で。






｢次は、勝ちますから。｣


｢いーや、全国に行くのは私達だ。｣







私達は笑って、再び背を向けて歩き出した。



もう、春高が近い。







日常｢月曜の王様と大王様と青葉の姫｣


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