日常9 ページ10
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「はぁ…」
私は朝から憂鬱だった。今日一日で幸せという幸せが全て逃げてしまいそうなくらいには溜息をついていた。
「今日のくるすちゃん、なんか儚げだよね。」
「Aが可愛く見えてきたの俺だけ?」
「オレも。溜息えっち。」
クラスメイトが遠巻きに私を見て何かを言っているが、場所が遠いせいで聞こえなかった。普段なら聞き返すところだが、生憎そんな元気は無い。
「あいつのどこがいいんだよ。」
「あ、岩泉じゃん。部活だから来栖迎えに来たの?いつもはしねぇのに珍しいね。」
「ちょっと事情がな。」
気づけばドアのところに立つ岩泉。どうやらクラスメイトの男子と話しているようだ。岩泉が私の視線に気づき、教室に入ってきた。
「おい来栖、部活行くぞ。」
「私部活行ったら国見に処されるって!!何されるかわかんないじゃん。岩泉は私が国見に殺されてもいい訳!??!」
私が今日一日怯えて過ごした理由。それは国見英だった。国見の黒歴史を写真におさめたのがばれ、明日の部活に話を聞くという趣旨のDMを未読スルー。その結果、
[国見英]
いい度胸ですね。
と、一言だけのメッセージ。一言だけなのが怖すぎて私は現在もハムスターのように涙目で震え上がっている訳だ。
「まぁ国見だし、殺すまではしねぇだろうよ。」
「殺す一歩手前まではするってことだね、はい分かった逃げます。」
「元はと言えば、お前が全部悪いんだからな。」
とてつもない正論をかまされ、私にもう味方は居ない。これはもう逃げるしかない。
「岩泉、国見に許してくださいって伝えといてよ。私は部活が始まるまで逃げる。」
そう、部活さえ始まってしまえば休憩時間はそこまで長いものでもない。マネージャーだから準備等で、国見が話す時間もない。
「いや、まぁそれはいいけどよ。お前ドアの方見てみろよ。」
岩泉に言われ、私はドアの方向を見る。そこにあった、いや居たのは
「ぁ、くにみくんじゃあないですかぁ…。」
「せーんぱい。あーーそーーぼーー。」
嘲るような笑みを浮かべた国見がそこに居た。逃げようと試みるものの、この階は三階。ドアからこっちに近づいてくる国見と本気鬼ごっこは完全に負け確。
つまり、詰んだ。
「先輩、逃げようとか考えないでくださいね。」
私は国見に手を捕まれ、部室まで連行されることになってしまったのだった。
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米粉パン - さいっこうでしたっ!!!神作品をありがとうございます!!! (2022年12月17日 6時) (レス) id: 8b37d8f686 (このIDを非表示/違反報告)
米粉パン - 思わず笑ってしまいました。三年生がとっても仲良くて、いくら強豪の選手でも学生だなって思いました。国見くんのチア姿見てみたいですw (2022年12月17日 6時) (レス) @page47 id: 8b37d8f686 (このIDを非表示/違反報告)
焼肉のお供のご飯(プロフ) - めろんぱんさん» ありがとうございます!作者です!天才とか最高だなんて…照れちゃいます笑笑楽しんで頂けたのなら、書いたかいがあります!神作品だなんて言って貰えて私は幸せ!! (2022年8月25日 7時) (レス) id: 91f2d1010a (このIDを非表示/違反報告)
焼肉のお供のご飯(プロフ) - おつゆ。さん» コメントありがとうございます!作者です。文才ありまくり!?嬉しいです!!言葉にして言ってくださると、すっっっごい嬉しい!!! (2022年8月25日 7時) (レス) id: 91f2d1010a (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん - なんですか!!天才ですか!!もうっ!最高ですよっ!!めっちゃ面白かったです!神作品をご提供ありがとうございました! (2022年8月17日 15時) (レス) @page46 id: 36a941d5ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:焼肉のお供のご飯 | 作者ホームページ:http://http://user.nosv.org/verifymail?u=solomon3240&hash=ff5a5c47ba09bb9e72...
作成日時:2022年4月8日 15時