青城三年、馬鹿五人

日常２３ ページ24

・




夢の様な時間だった。



あとから長い試合だったね、と言われればそうだねと答えるだろうし、短く感じたね、と言われてもそうだねと答えるだろう。


コートの中に立てない、ただひたすらに応援とタイムアウト中のドリンクやタオルの準備くらいしかしてやることの出来ない自分が悔しくて何度も掌を強く握った。








青葉城西高校は、烏野高校に敗れた。







惜しかったといえば惜しかった。花巻も松川も岩泉も調子は今までに無いくらい良かった。特に及川。サーブもあのロングセットアップも最後の反応も。最後、取り損ねたのもきっとブロックにボールが当たったからだ。






誰よりも彼らを傍で見てきた。


誰よりも彼らの傍で笑ってきた。


誰よりも彼らを心から信じていた。






悔し涙を見せる彼らを見て、私も泣きそうになる。けれど、顔をクシャクシャにして泣くのを我慢した。私はマネージャー。皆を支えるのが仕事だから。




挨拶から帰ってきた四人は私を見て、辛そうな顔をした。私にそんなに気を使わないで欲しかった。一番悔しいのは彼らのはずだったから。








｢四人とも、超かっこよかった。｣








私の言葉で、また泣き出す四人。その一言は紛れもない本心で、事実だった。こいつらは私に色々な景色を見せてくれたヒーローだった。







｢Aちゃんが…ｽﾞﾋﾞ…俺らを…褒めるなんて珍しすぎるね……笑…。｣


｢…ｽﾞｯ…明日は…雨かもな…笑…。｣


｢………槍かもしれねえよ。｣


｢……A捕まるね笑。｣





｢……こんなときまで…やかましいわ笑。｣





また私はクシャクシャの不細工な顔で笑った。




・
終わりそうな雰囲気出てるけどまだもう少し続きます！！安心して！！シリアスでは終わらないよ多分！！

日常２４→←日常２２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す