青城三年、馬鹿五人

日常１８ ページ19

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私はとある危機に直面していた。青城のバレー部は所謂強豪と呼ばれる部類。しかし選手たちは、どれだけ強かろうと華の高校生だ。


つまり、何が危機なのかと言うと…。





｢やばい。数学過去最低点数とったしぬ。｣





期末テストである。






数週間前、私達はこんな会話をしていた。





｢なー、次の期末さ数学の範囲くそ難しいやつじゃんか。勝負して、最下位のやつ他のやつにファミレス奢りしようぜ。｣


｢マッキーに負ける気がしないね。｣


｢私今回やばいかもなんだよなぁ。｣


｢松川お前、理数系得意だったよな。｣


｢まぁ、人並みには出来るよ。｣





花巻の提案に、軽い気持ちで乗ってしまった私は今過去最低点数の４３点の答案用紙を眺めながら、どうにかして奢りだけは避けたいと脳をフル回転させているのだ。




成長期の男子高校生、しかも運動部四人に飯を奢るとなれば、私のお財布が危うい。




憂鬱な気持ちを抱えながら、とぼとぼと部室へと向かった。少し部活をするには早い時間だが部室で答案を見せ合うという約束なのだ。






｢あぁー、みんな揃ってたんだね……。｣






目の前には答案を片手にした四人の屍。あの松川でさえ落ち込んでいるのだから、空気が重さが尋常ではない。





｢誰から見せる？｣


｢じゃんけんで負けたヤツでいいんじゃね？｣




という岩泉の提案により、私達は死ぬ気でじゃんけんをした。





｢｢｢｢｢さいしょはぐー！じゃんけんぽい！｣｣｣｣｣


｢あーーくそまけた！！｣





最初に負けたのは花巻だ。




｢……俺今年受験生なのに…やばい…。｣




そう呟く花巻が開いた答案に書いてあったのは６９点の数字。私より断然高い。




｢あー、ふーーん？ふーーん？｣



とりあえず自分の点数が最後まで悟られないように、皆動揺を隠している。


次に負けたのは松川。



｢俺はこれ。｣



そう見せた答案に赤いペンで書いてあるのは８７の数学。ご丁寧に花丸とGoodという文字まで書かれている。




｢はぁ！？あんなに点数悪かった風装ってたのに８７って！この裏切り者！！｣


｢皆が虚無ってたから、俺も悪い風を装ってこうかなって思って。｣


｢理数系ずるい。この年齢詐称野郎。｣


｢花巻と違って俺は他も全部できるから。｣


｢はーー！？現文何点だよ。｣


｢９３。｣


｢なんで数学より高いんだよ！！！！｣




残すは、私を含めた松川には明らかに叶わないであろう三人だ。


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