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優しさ【千切豹馬】 ページ25

枕元で小さくスマホが震えた。
上に乗っている彼の体を軽く退かして、腕を伸ばし、充電器からスマホを外す。

『やっほー!A今何してるー?』
連絡は蜂楽からだった。

何て返そう、と画面を見つめていると、退けたはずの腕が再び私を抱きしめる。

「‥蜂楽か」

横を向くと彼も私のスマホの画面を睨むように見ていた。

「うん」
私は画面に視線を戻して答える。

「何の用だよアイツ」

「さあ。千切と一緒なんじゃない?」

「は?」
揶揄って言うと、不機嫌な低い声。
スマホの画面を見ていた瞳が私の顔を捉えている。

あー、またやっちゃった、と思うが遅かった。
彼は私の顔の横に肘をつき私を見下ろす。
長い髪が顔の周りに垂れ、カーテンのようだ。

「お前いったい何人と遊んでんだよ。やめろよ、ほんとに」

刺すような視線が痛い。

彼は私が求めたときは応えてくれるが、自分を大切にしない私をよく叱る。
私はそれを煩わしく思ってるけど、ひどく悲しそうに嗜めるから何も言えない。

彼は嫉妬しているのではなく、私を案じているからだと分かっているから余計に。



私はスマホを伏せて彼の垂れる赤髪に手を通した。

「蜂楽んとこには行かないよ。千切といたいから」

「‥ご機嫌取りとかいらねーっつーの」

少し眉を顰めたが、真っ直ぐ見つめると悲しそうな表情をした。
彼は右側の髪を耳に掛けて優しいキスを落とす。私は彼の首に腕を回して受け入れる。



ずるいな、私。

彼の善意と優しさを無下にして、都合のいい言葉で嘘ついて逃げて。



鳴り続けるスマホは、伏せたまま。

朝帰り【國神錬介】→←連想【蜂楽廻】



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雨海(プロフ) - ひよさん» 読んでくれてありがとうございます!!気に入っていただけて嬉しい(〃ω〃)最近更新サボり気味だったのですが頑張れそうです(*´꒳`*) (2023年2月20日 13時) (レス) @page23 id: d5df2c0ba3 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - はじめまして、コメント失礼致します。タイトルにホイホイされまして読ませて頂きましたら……私の……私の理想の夢世界が広がっておりましたありがとうございます(泣) お話のトーンもめちゃくちゃ好みです!またの更新を楽しみにお待ちしております…! (2023年2月20日 9時) (レス) @page45 id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
雨海(プロフ) - jやよさん» ありがとうございます!尊いなんてそんな…(〃ω〃)氷織くんいいですよね!綺麗かわいいし、関西弁がたまらん(*´-`) (2023年2月3日 0時) (レス) id: d5df2c0ba3 (このIDを非表示/違反報告)
jやよ - ぜ、全部尊いだと、、、主さんは神か? 特に氷織君が好きなのこういう短編集にあることも感激です!これからも主さんの好きなペースでいいので更新頑張ってください! (2023年2月2日 22時) (レス) id: 7c8c23da7c (このIDを非表示/違反報告)
雨海(プロフ) - ななノさん» ありがとうございます(*´꒳`*)そんなに褒めていただいて光栄です!夢主のあざと可愛いを意識してるので伝わってて嬉しいです笑モチベがめちゃ上がりました笑 (2023年1月29日 3時) (レス) id: d5df2c0ba3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨海 | 作成日時:2023年1月10日 18時

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