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嘘 〜翔side ページ8

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クリスマスイブは金曜日に重なって


浮かれる街の喧騒をかき分けながら

Aとの待ち合わせ場所に急ぐ。


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翔:「ごめんごめん......待った?」


A:「遅いよっ、翔!

もー、寒かったんだからっ」


今日は翔のおごりね。と憎まれ口をきくAは

両手をコートのポケットに入れたまま 身をすくめて歩く。


.


.


オレが予約した店に到着すると


A:「えっ......お蕎麦?」


クリスマスに?と言ってAが笑う。


翔:「お前だってさ、

オレといまさらオシャレなレストランとか

行きたくねーだろ?」


オレも負けずに減らず口を叩くけど、


本音を言えばさ。


そんな典型的な『クリスマス』なんて過ごしたらさ

智くんがいた、幸せだった日々を思い出して


辛く、なるだけでしょ?


翔:「つーか、ここの蕎麦、

まじでうまいんだから」


.


翔:「ほんとにオレと過ごすんでよかったの?」


A:「むしろ好都合。

あの広い部屋に一人でいてもね...。


そういう翔こそ良かったの?」


翔:「ああ。別にさ、イブに一緒にいてぇヤツなんて、いないしさ」


ははっ,と笑い飛ばしてみせるけど


用意していた「嘘」に、少し胸が痛くなる。


.


自分の気持ちを偽ることなんて


とっくに慣れた、つもりなのに。


.


.


2人で熱燗を飲んでると、

いい感じに酔っぱらってくる。


翔:「ね、A。...お前まだ、

智くんと住んでたアパートにいるの?」


軽く目を逸らしたAは


「うん」と言って頷く。


.

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作者名:にゃのこ | 作者ホームページ:http://.  
作成日時:2010年11月18日 0時

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