彼の気配 ページ7
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今朝も智の夢で目が覚めた。
近頃，やたらとリアルな夢をみる。
起きた瞬間は自分でも
現実がどっちなのかわからなくて
混乱してしまうほど。
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一人暮らしとなった今となっては
大きすぎる、2LDKの賃貸アパート。
年が明けたらこの部屋を引き払って
新しいところに引っ越そう。
そう心に決めてたのだけど......
久しぶりに、智が使っていた部屋に入ると
やっぱりその決心が鈍る。
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智のご両親がほとんどの荷物を
引き上げていかれたけど
形見にと言って残されたものが、いくつも残る部屋。
机の上には、書きかけのスケッチブックと
未使用の12色の色鉛筆。
いつも被っていたキャップ。
壁にかけたままのスタジャンは
顔を埋めると、智がつけていた香水が
まだ、わずかにだけ香って。
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この家にはまだ、智の気配が生きている。
リビングに戻ってコーヒーを飲みながら考える。
こうしていると
「ただいまー」
玄関のドアが開いて、智が帰って来そうな気がする。
「腹減ったよー」って、とびきりの笑顔で。
今日は......カレーにしようかな。
智好みの、とびきり辛いカレーに。
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ぼんやりとテレビ画面を眺めていたら
突如、勝手にチャンネルが切り替わった。
......なんで？
私、今 リモコン触ってないよ？
テレビに映し出されたのは釣り番組で。
この曜日の、この時間、
決まって智が見ていたもの。
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A：「......智？......いるの？」
思わず出た声は、一人きりの部屋に虚しく響く。
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ラッキーアイテム
革ベルト
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