新しい人生 ページ33
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翔:「Aー、コーヒー入ったよー」
朝、翔に起こされてリビングに行くと、
コーヒーの香りが鼻腔をくすぐって......
テーブルには、3つ揃ったマグカップ。
翔が買ってくれた、赤と青と......黄色の。
A:「信号機じゃないんだから」
せっかく買って来てくれたのに、私が翔のセンスを笑ったから、
翔は拗ねてしまって。
私は不意に、夢の中で智と話していた会話を思い出す。
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翔:「ね.......夜、大丈夫だった?」
突然、翔が訊く。
A:「え?......夜?」
翔:「いやさ、昨日......智くんの......夢でも見た?」
翔、気づいてたんだ。
思わず、ごめん、って言いそうになって
「翔くんを悲しませないで」
智の言葉が頭に蘇り、慌てて言葉を飲み込む。
私はわざと明るい声を出して
A:「そうそう、久しぶりに夢に出て来た。
なんだか、元気そうだったよ!」
元気そうって言うのも......おかしな話だけど......
けれど翔は、何も言わずに、ただ笑った。
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A:「ね、翔?」
翔がゆっくりと、顔を上げる。
A:「ねぇ、.........引っ越そうか...」
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私は、もう、新しい人生を......歩いて行かなければ......
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智のいない世界で、生きる勇気をくれた
この......優しい人と共に。
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引越しの話を切り出したら、
翔は怪訝そうな顔をしたけど
翔:「いいよ...... Aがしたいなら、そうしよう」
そう言って...それ以上、何も訊かなかった。
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