お人好し 〜翔side ページ31
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オレがなかなか恋人と長続きしなくて
Aがいっつもオレのこと心配してさ
A:「翔は、本気で人を好きになったことあるの?」
って......オレに説教したときも。
なぜか智くんがAに怒ったんだよね。
智:「A、翔くんの気持ち考えないで
そんなこと言っちゃだめだよ」
あのときの智くんの苦しそうな顔を見て
オレ、わかっちゃったんだよね。
智くんには、オレの気持ち......
Aへの想いが、バレてたんだなって。
今だから言うけど、あの頃さ、何度も思ったんだ。
もし......もしね?
智くんより、オレの方が先にAに告白してたら...
違うストーリーが待ってたり、したのかなって。
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ね、智くん。
だからなの? だから......最後に
あんなメッセージを、残してくれたの?
もうほんとさ、どこまで人が.........好いんだよ。
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顎まで毛布を引っ張って、オレの腕枕で眠るAの
白い頬に春の柔らかな日差しが落ちて。
窓の外を見ると、光が眩しくて思わず目をつぶる。
A:「ね、翔?」
寝ていたはずのAが不意に話しかける。
A:「来週の智の命日には
もう、桜も散っちゃってるかなあ」
翔:「......そうかもな。...残念だけど」
A:「...智、今年はお花見できたかな」
翔:「そりゃ、ぜってーしてるわ。
も、天国からの眺めなんてさ、絶景でしょ」
A:「そっか......ふふふ、そうだよね」
翔:「なーA。こんどお参り行ったらさ、
オレたちのこと...智くんに報告しような」
A:「ふふふ......智、きっと驚いちゃうね」
翔:「どーかな......案外......驚かないかもよ」
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智くんには何もかもお見通しだよ。
もう、きっと、ずっと前から。
A:「えー、そうなの。
翔くん、ずりーよ、オレがいないからって、
とか、妬いてくれたりしないワケ?」
少し不服そうな声のAが、オレは可笑しくて。
翔:「きっとね、これで
......お互いさまだね、ってそう、言ってると思う」
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