幻（まぼろし） (Sho S / Satoshi O) (ページ30)

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言えなかった言葉　～翔side ページ30

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オレたちは、ごく自然に抱きあって、重なって...

欲望というよりは、ただひたすら心が満たされる行為で

それでもやっぱり大好きなAを抱くと

オレはもう、幸せ過ぎて......頭が真っ白になって

Aの肩の横に両腕をついて、思わず動きを止める。

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Aが不意に目を開けてオレを見つめ

両手を上に伸ばすと、オレの肩から腕に向かってそっと撫でる。

オレは照れくさくて、「なによ」訊いてみる。

A：「ん？......翔って...ほんと......キレイ」

翔：「...なんだよ、それ」

つうか、それ、オレのセリフじゃね？

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オレの胸の中で果てた後、オレにしがみつくAの

髪を撫でて、額にキスして

翔：「A、好きだよ」

オレは......呪文のように、そう繰り返す。

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好きだよ。...ずっと好きだった。

どうしてもAには言えなかったけど。

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Aが同居を許してくれた後も

心配でずっとそばで見守ってたいのに

けど、あまりにAと一緒にいたら

オレの想いをAにぶつけてしまいそうで、

それが怖くて......それだけは避けたくて

......わざとすれ違いの生活を送ってみたりした。

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偶然に、智くんが残した動画を見つけたときも

本当はAに見せるの、躊躇したんだ。

なんか、卑怯な手を使って

Aを手に入れようとしてるみたいでさ。

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でも......

ねぇ、智くんはさ、やっぱ......気づいてたよね？

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