とまどい ページ22
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翔は当たり前のように3人分のコーヒーを入れてくれ
当たり前のように、来客用のカップを手にとる。
私は少し、申し訳ない気持ちがして
心の中で「ごめんね」を翔に言う。
翔と再会してから、私はそればかり。
「ありがとう」と......「ごめんね」と、そればっかり。
気を遣ってくれる翔に、甘えているだけ。
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A:「ね、翔、ほんとに大丈夫?」
怖がりのくせに怖いものみたさの私が
ホラー映画のDVDを選んだ時
翔は「あたりめーだろ。
第一、映画なんて作りもんじゃん」
なんて強がっていたくせに。
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翔:「うわっ。...もーまじ、こえーっ。
つーか、まじオレ、これ無理だわっ」
私よりも怖がっちゃって、私にしがみついてきて。
A:「ふふふ。もー、翔、へたれすぎ」
翔:「うるせー」
翔が無意識に触れて来る、その体温に
私は、思いがけずドキドキしてしまう。
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翔が布団の中で抱きしめてくれたあの夜以降、
翔との距離は、何事もなかったように元の通りに戻って
抱きしめられたり、まして、キスすることなんて、全然なくて。
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すぐ間近に見える、形のよい唇を見つめて
翔のキスの感触を想う。
智とは違う、柔らかで、熱を帯びた唇。
翔のキスは、智と違う、とは思ったけれど
『違う、この人じゃない』と
そう、感じたりすることは......全然なくて。
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あまりに自然に受け入れられて、
自分でも正直、とまどってしまうほどで......。
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