深い愛 〜翔side ページ15
あの夜以来、Aと顔を合わせない日が１週間以上続いたけど。
その日は
朝起きると、珍しくAがまだ家にいて。
テーブルの上のカラのコーヒーカップを２つ
台所に片付けようとしていた。
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翔：「あれ、A、仕事は？」
A：「今日は有休とったの。
ね、翔......寝不足？ 眼、腫れてる」
翔：「え？...ああ。 最近、ちょっと寝れないんだわ」
A：「仕事忙しいの？」
オレはまた、ああ、と曖昧にうなずく。
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翔：「あー、そっか。......今日は墓参りの日か。
ね、A、オレも一緒に行こうかな」
A：「そんな、ムリしないで。 忙しいのに...」
翔：「大丈夫。最近すげー働いてるからさ。
午後から半休とってくるわ。
...ほら、見てみなよ。今日は雨、結構降ってっから、車で送るよ」
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オレは昼で仕事を切り上げると
会社の車を借りて アパートまでAを迎えに行く。
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底冷えする灰色の空の下
オレたちはゆっくりと寺の砂利道を上る。
A：「...雨はキライ。」
不意にAがつぶやく。
そのセリフにオレの意識は急速に過去に逆もどりする。
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あれは確か、学食で3人、昼食をとってたときだった。
A：「あー、ほんと雨ってきらい。
髪は広がるし、靴は汚れるし？」
智：「ふふっ。オイラ、結構好きだよ？」
A：「えー？ ほんとに？」
智：「だってさ。
雨の日に見れる、Aの不機嫌な顔も好きだから」
智くんの言葉に、嬉しそうな顔で笑うAを見ながら
翔：「ちょっとちょっと！
いちゃつくのは２人きりでやってくれよ」
オレはそう言って茶化したけど
あの時、正直、「あー負けたな」って、思ったんだ。
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この人の愛情の深さには敵わないな、って。
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ラッキーアイテム
革ベルト
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