遠慮 ページ13
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夜、読みかけの小説でも読みながら寝ようと
コーヒーを沸かしていると
珍しく、翔が仕事から早く帰ってきた。
A：「おかえり、翔。
翔も、コーヒー、いる？」
翔：「ただいま。 ってか、今からコーヒー？
こんな時間にコーヒー飲んだら、オレ
ぜってー、眠れなくなるわ」
少し呆れ顔の翔を追って、翔の部屋に入る。
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翔は、スーツを脱いで ネクタイを緩めると
私が後ろからついてきているのに気づいて、着換えを中断する。
A：「翔、そう言えば......荷物少ないね」
もともと智の部屋だったところに運ばれた 翔の荷物。
半分開いたクローゼットの中に、洋服などはしまわれてるけど
布団が増えた以外は、CDと本がいくつか転がるだけで。
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それでも、やっぱり、以前とは少し雰囲気が違う。
部屋には翔の匂いがするし、翔の温度がある。
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翔：「あー、ほら。寮の前、オレ実家暮らしだったじゃん？
もともと、荷物はほとんど実家に置きっぱなの」
部屋に置いてあった智の荷物も、全部そのままで。
翔の雰囲気には不釣り合いな、壁のスタジャンを見て
智に遠慮してるのかな？ そう、思った。
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A：「なんなら、智の荷物、片付けるよ？」
机の上の智のカメラを手にとった私の腕を
翔：「別にいいよ」 と制止する。
私を掴んだ腕の力強さに、思わず、たじろいでしまい
A：「...翔？」
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翔：「......ごめん。」
翔の手の力がゆるんで
翔：「でも、ほんとに、いいんだ。
オレ、今すぐに変えられるとは思ってないから。
智くんの跡も......お前の.........気持ちも」
A：「翔...」
私を掴む腕に、一瞬ぎゅっと力が込められたけど
翔はすぐに手を放し......力なく俯いた。
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翔：「悪い、オレ今日、疲れてるから、もう寝るわ」
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ラッキーアイテム
革ベルト
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