自慢の男友達 ページ11
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翔との生活は、気楽で、穏やかで、心地いい。
あまり会話はないけど、
家の中で少しずつ増える翔のもの......
洗面所の歯ブラシとか、男物のシャンプーとか、
見ると「ああ、翔がいるんだ」って実感するし
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何より、夜中にふと目が覚めたときに
同じ屋根の下に翔がいると思うと
少し心が落ち着いて
また、もう一度眠ることができる。
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時計を見るともう、23時。
翔もたまには早く帰ってきてくれればいいのに。
そしたら一緒に、お酒でも 飲むのにね。
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明日は土曜日でお休みだから
珍しく私は缶ビールを開ける。
リビングのソファに座り、グラスを2つ出して。
私の分と......智の分と。
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A:「ね、翔はさ。
きっと......私のこと心配してくれてんだよね。
智がいなくなって、悲しんでるんだろうって」
智が優しく笑う。
智:「ふふ。オイラね、思うんだけど。
翔くん......Aのこと、好きなんじゃないかなあ」
私は驚いてビールを吹き出す。
A:「えーっ。ないよ、ないない。
一度だってそんな素振り、見せた事ないし。
第一、あの、女に不自由しない翔が、よ?」
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大学時代、女子に大人気で
しょっちゅう新しい、しかも美人の彼女を連れている翔のことを
私たちはよく感心して見ていたものだった。
かっこよくて、優しくて、気のきく翔は、私にとっても
そう......自慢の......男友達だった。
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いつも明るくて、穏やかで、揺るぎなくて。
翔が抜群のバランス感覚を発揮してくれらからこそ
私たちは、私と智が付き合っていても
いつまでも3人で 一緒にいられたんだと思う。
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