あの頃、私たちは... ページ1
.
「A?」
.
突然名前を呼ばれて、私は後ろを振り返った。
A:「しょっ、...翔?」
翔:「よっ...久しぶりだな」
翔は優しく笑うと、私の隣にしゃがみ込む。
薄いピンク色の花束を置いて、そっと手を合わせる翔の
眼を閉じた、その端正な横顔をじっと見つめる。
.
ね、翔も思い出しているの?
周りの誰もを幸せにしてしまう
あの、穏やかで、優しい笑顔を。
.
......智?
そこから私たちのことが、見える?
.
今でも私の中には...ううん、きっと。
きっと翔の中にも、
智が変わらず......生きていて。
.
.
.
翔:「Aはしょっちゅう来てんの?」
A:「...うん、毎月、月命日には。...翔は?」
私たちはバスに揺られて駅までの道を行く。
翔:「オレは...実は、葬式以来なんだ。
なんつーか、やっぱ辛くてさ」
そっと笑ってみせるけど、
その表情には、拭いようもない影が浮かぶ。
.
翔、少し...痩せた?
.
.
.
私と翔と...そして智は、大学の同級生だった。
一緒に授業に出て、一緒に授業をさぼって
いっつも大笑いして、バカばかりして
ずっと変わらずに3人でいられるって
そう...信じていた。
.
.
あの頃の、私たちは。
.
ラッキーアイテム
革ベルト
109人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ