向日葵に水やりを【Takumi.K】 (ページ41)

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         野球は好きやけど部活は嫌い

顧問からランニング10周って言われて、みんな重い足取りで準備してた

もちろん俺も例外やない

最後の1周、ランニングコースの横にある花壇の花を部員の1人が踏んでしまった

そしたら近くにいた女の子はあっ！と声を上げてその花に駆け寄っていた

俺が踏んだわけちゃうけど、悲しそうな顔しとったから申し訳なくて

『ごめん、花大丈夫？』

俺はその子に声をかけた

そしたらその子は、大丈夫です！夏になったらちゃんと咲くので！って笑顔で言った

へー、なんの花なん？なんて全然興味ないくせに俺はその子に聞いた

『ひまわりです！踏まれてもちゃんと咲くんです！強いですよね！』

｢凄いなぁ｣

『上向いてるからポジティブなお花って感じしません？私好きなんです』

｢ええな｣

『いつかひまわり畑とか行ってみたいんですよね〜』

｢せやな｣

そう言ったものの、ひまわりどころか花には全く興味がない

『夏になったらこの花壇のお花も元気に咲くはずなので、見てみてください』

｢わかった｣

これがAとの最初の会話

その日から意識して花壇のひまわりを見ていれば、あの子が水やりしているのを何度か見かけた

そのお陰か少しづつ成長しているのがわかって
夏にはあの子が言った通り、ひまわりは綺麗な色で咲き太陽を追いかけていた

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あの時から好きやったんやと思う

ひまわりみたい明るくて
可愛い笑顔をした名前も知らない君に

向日葵の花言葉は

“あなただけを見つめている”

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