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平気でかっこいとか言うよな、この子
かっこいいに限らずなんでも思ったこと言ってる、ってそれは俺も同じか
まっすぐ目を見てどストレートにそんなこと言われたらどうしていいか分からへん
「あれ、先輩照れてます?」
『照れてへんよ』
「ん〜…たしかにいつもの拓実先輩だ」
顔が赤くなったことを悟られないように、気分を落ち着かせて深呼吸した
「たくみただい…」
『おい勝手に開けんなっていつも言うてるやろ』
「あれ、可愛い子発見。拓実の彼女?」
部屋のドアを勝手に開けてズカズカと入ってくる兄貴が、タイミング悪く帰ってきた
社交性全開で絡んで行くから、ちょっとAさん引いてるやん
ってか彼女って聞かれてめちゃくちゃ首振るやん
そこまで否定せんくてもええやん
「あはははっ、拓実振られてるやん(笑)」
『うっさいあっち行け』
「拓実のことよろしくね、え〜っと」
「Aです」
「下の名前は?」
「あ、Aです…」
「Aちゃん!いつでも遊び来ていいから」
「ありがとうございます」
シッシッと手を払いうるさい兄貴を追い出した
『いつもあんな感じやねん。ごめんな』
「私一人っ子なので羨ましいです」
『俺も一人っ子がよかったって思うくらい兄貴うるさい』
「きっとないものねだりですよ」
『そうなんかなぁ。…あのさ兄貴見てどう思った?』
「どうって…拓実先輩のお兄さんなのか〜ってくらいしか」
『それだけ?』
ほんまにそれだけなん?
昔からことある事に兄貴と比べられてきた
頭の良さだって顔の良さだって、運動神経だって性格だって
兄貴と仲良くなりたいからって、俺に近づいてきた女子もいた
だから、兄貴に興味なさげな答えが嬉しかった
あー俺、めんどい奴やな
ってか兄貴、しれっと名前で呼んでたんほんまにダルい
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作者名:ニアちゃん | 作成日時:2023年2月3日 20時