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それから毎週火曜日は旧校舎の屋上で拓実先輩とご飯を食べた
『ほんまに作ってきてくれたん?』
「もちろんです!きっと美味しいはずです…!」
生まれて初めてお弁当を作った
まあ6割?7割くらいはお母さん作かもしれないけど
まぁとにかく、私は初めてお弁当を作ったのだ!
『うわ!めっちゃ美味そうやん!食べてええ?』
「どうぞ…!」
『ん。ほんまに美味い』
「よかったです…」
その言葉が聞けて肩の荷が降りた気分
ほぼお母さんが作ったやつだけど
拓実先輩は終始美味しそうに食べていて、気づけばお弁当は空っぽになっていた
自分が作ったご飯を美味しそうに食べてもらえるのがこんなに嬉しいなんて知らなかった
料理なんて全然興味なかったけど、これを機に始めてみようかな…
『ご馳走様でした。まじでほんまに美味かった』
「そう言ってもらえると作りがいがあります」
『料理上手なんやな』
「え!?ま、まぁそうですね!人並みには!?」
『せーへんのや』
「はい…。7割お母さん作です…」
私の嘘はあっさりと見抜かれてしまった
それを聞いた拓実先輩は笑って、お母さんに美味しかったですって言うといてと言っていた
「で、でも!卵焼きは自分で作りました!」
『そうなん?卵焼き美味しかったで』
「え?ほんとですか!才能ありますかね!」
『あるんちゃう?いつかは全部Aさんが作った弁当食べてみたいわ』
「えっ…!頑張りますね!」
私の作ったお弁当が食べたいなんて言われると思ってなかった
やっぱり拓実先輩は罪な人だ
私が喜ぶ言葉を簡単に言ってしまうんだから
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作者名:ニアちゃん | 作成日時:2023年2月3日 20時