向日葵に水やりを【Takumi.K】 (ページ13)

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先輩のアイコンとヘッダーは初期設定のままだった

なんとなくわかる、そういうの興味なさそうだもん

『Aって言うんや』

｢そうです！名前言ってなかったですね｣

『うん。名前なんて言うんやろって思うてた。苗字はなに？』

｢Aです！｣

『よろしくな。Aさん』

普通の顔して言ってるから悪気はないんだろうし、彼にとってはそれが普通なんだろうけど…

苗字呼びってなんか嫌！！

｢拓実先輩って呼んでもいいですか？｣

『うん、別にええけど』

｢だから拓実先輩も私のこと名前で呼んでください！｣

『え？』

｢苗字呼びは距離を感じるので…｣

『Aさん？』

｢……｣

あからさまに嫌な顔をすれば、先輩は何かを察したようにあー…と苦く笑った

『嫌やで。名前で呼ばへんよ』

｢えぇ〜！！｣

『いつか呼ぶわ』

と拓実先輩はまた片方の口角を上げて、やれやれって感じで笑ってた

撃沈です、手強いなぁ

『そろそろ戻らな顧問に怒られるわ』

｢わざわざ届けてくれてありがとうございました！部活頑張ってください！｣

『おん、頑張るわ』

そう言って拓実先輩は教室を後にした

夢心地でふわふわしたまま窓の外を眺めていたら、校舎から出てきた先輩は私がいる教室を見上げた

えっ！！こっち見た！？

反射的に下に隠れて、再び覗くようにのそーっと立ち上がれば、先輩はまだこちらを見上げていたようですぐに目が合う

“はよかえれ”

意地悪く笑いながら口パクでそう言った先輩に、手で大きな丸を作って返事をする

そしたら満足気にグラウンドへと駆けて行くから、そんな先輩の後ろ姿を眺めていた

あんな爽やかなことをされたら更に好きになってしまうじゃないか…

この日は拓実先輩のことをもっと好きになった日だったっけ

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