向日葵に水やりを【Takumi.K】 (ページ12)

今日:70 hit、昨日:433 hit、合計:142,648 hit

12 ページ12

.

『あのさ……』

｢はい？｣

『その…この間連絡くれたやん』

｢はい…｣

さっきまで先輩との時間が幸せで夢見心地だったのに、この話題になった途端現実に引き戻された気がした

なにかを言いづらそうにしている先輩を見ると、彼女がいるんだろかと考える

“この間連絡先くれたやん。でも俺彼女おるから受け取られへんわ。ごめんな”

これだ
この文章が妙にしっくりきてしまって肩を落とさずにはいられない

『ごめん』

｢ですよね…先輩かっこいいし彼女さんいますよね…｣

『え？』

｢え？｣

2人して頭にハテナを浮かべて少しの沈黙

窓の外から聞こえる部活生の声が教室に広がる気まずさを解消してくれた気がした

というか川西先輩はなんの、え？なの

『俺彼女おらんよ』

｢ではなんの謝罪…｣

『ズボンのポケット入れとったら洗濯されて、紙ぐちゃぐちゃになったんよ』

｢なるほど｣

そういうことだったのか…

だから連絡くれなかったのか

｢じゃあLINE交換しましょ！｣

『おん。なんか無視してたみたいになってごめんな』

｢ちょっと悲しかったですけど大丈夫です！｣

『次の日教室行ったんやけど、翔也と楽しそうに話してて邪魔したらアカンかなって』

｢ああ！それで！｣

『？』

だからあの日、川西先輩は私の教室に来てたんだ

しょうもないねり消し同好会の話のせいで、話しかけてもらえなかったのか

前言撤回、やっぱり許さない翔也……

.