偶然の重なり ページ15
静かな自宅に帰宅して世人はテーブルに水を置く。
｢…大丈夫？｣
さっきから話しかけてくれてるのに何も返さない私。
｢Aに不安な思いさせてごめん…｣
私の前の椅子に座り頭を下げる。
｢…あの日。同僚と飲みに行った｣
『…藤田さん？』
私がある人の名前をあげると驚いたような顔をした。
｢…うん｣
返ってきた返事に一気に息苦しくなる。
私より優先された他の女性。
どす黒い感情が湧き上がる。
『…本当に呑みに行っただけ？』
自分でも驚くくらい震える声。
その返事の先が怖い。
私が望む返事を待つ。
｢…違う｣
その言葉に、私は絶望した。
『…そっか』
それ以上にも聞けなかった。
怖くてにも聞きたくなかった。
だって、どこかで信じてたのにそれを否定され私は裏切られたのだから。
｢Aにとっては全部言い訳なのはわかってる。でも、聞いて欲しい…相談があるって言われて呑みに行ってキスされた。それ以上は何もしてない…呑みに行った自分が間違えだった。軽率だった。本当にごめん｣
気がついたら、涙がボロボロ溢れていた。
知りたくなかった。
聞きたくなかった。
『…なんで呑みに行ったの？…なんでキスされたの…なんで？』
溢れ出る涙が止まらない。
｢…元彼に脅されてるって…それで相談にのって…藤田さんのプライベートだったから伝えなかった…そしたら帰りに突然…｣
『世人はそれを許したの？』
｢違う！そのまま振り払ってすぐ帰ってきた…でも、Aを見た瞬間自分がしたことに後悔して何も言えなかった…ごめん｣
私の目の前には今にも泣きそうな世人。
『…私、世人のこと信じていい？』
震える私の声。
｢…うん。本当に、藤田さんに対する気持ちなんてなんもない。ただの同僚なだけ…だから、信じて欲しい｣
私の目を真っ直ぐ見る世人。
その言葉には嘘はないと私は信じたい。
私は、立ち上がり世人の隣に立つ。
そのまま、私は世人の頬に手を添え触れるだけのキスをする。
｢A…｣
『…嘘ついたら許さないから。大人みたいなこと言ってるけど、本当は付き合いでもキャバクラにも行って欲しくない。他の女の人に優しくして欲しくない。私だけを見てて欲しい。世人といると、そんな感情が溢れて来るの…』
重い女。
そんなこと思われたらどうしよう。
そんな、悩みはどこかいっていた。
私の気持ちを伝えないとわかって貰えない。
そう思っていたら伝えていた。
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にる(プロフ) - てんてんさん» 初めましてコメントありがとうございます！とても嬉しい感想ありがとうございます。私も増えろと思いながら日々書いてます笑引き続き各小説よろしくお願いします！ (2020年10月5日 16時) (
レス) id: 6400c0deab (このIDを非表示/違反報告)
てんてん(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。1から読ませて頂きました！とても良かったです。2人のイチャイチャが最高に可愛いです。九重くんの小説増えろ〜って念送ってます。作者さんのほかのお話も面白くて読ませて頂いてます！ (2020年10月3日 0時) (レス) id: 78a3822a95 (このIDを非表示/違反報告)
にる(プロフ) - momoさん» 初めましてコメントありがとうございます！確約は出来ないのですが、参考という形で受け取りさせていただきます。すみません！ (2020年9月24日 12時) (レス) id: 6400c0deab (このIDを非表示/違反報告)
momo - 初めまして、いつも楽しく作品見させてもらってます！リクエストとかは可能でしょうか？喧嘩する2人の話が見てみたいです！九重小説少なくってこれからも毎日見に来ます (2020年9月24日 9時) (レス) id: b425128aa4 (このIDを非表示/違反報告)
にる(プロフ) - そらさん» 初めましてコメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです！ (2020年9月23日 12時) (レス) id: 6400c0deab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にる | 作成日時：2020年9月22日 14時
