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空白の23年間
Aさんに一体何があったのか。
手がかりがなく知っているのは本人のみ。
しかしなかなか口を開いてくれないとの事。
あれだけの傷を負わされたんだ。
思い出したくないのは当たり前。
傷だらけになり怯えて逃げてきたのだ本当はそっとしておくのが1番なはず。
だがそうはいかないのが現実。
隊長の指示で今、Aさんの病室の前にいる。
桔梗｢無理矢理じゃなくていい。話せるところまで聞いて欲しいの。彼女のためにも｣
心を開いてくれてるのかもしれないが自分にそこまで引き出す力があるか。
病室のドアを2回ノックし部屋に入ると、この前よりだいぶ痣や傷が薄くなったAさんがいた。
｢…こんにちは｣
『こんにちは』
返しは思っている以上に受け答えがしっかりしていた。
｢体調はどうですか？｣
『はい大丈夫です』
うっすらと笑うAさんの表情は少し悲しそうにしている。
｢Aさんに何があったんですか？｣
『…』
無言の彼女を見つめることしか出来ない。
話したくないのであれば、ここで終わりだ。
『…殴られました。』
ポツリポツリと話し始める。
『…気がついたら、暗く狭い部屋にいて、その中で色んなことを学んだ。文字の書き方、読み方、生活の仕方。それに…』
言葉に詰まる彼女の表情を見ると、男の自分でもその先の言葉が予想がつく。
『私は喜ばせ方を教えられた。』
ガツンと殴られるような衝撃。
『何度も何度も。私は、色んな男のところに連れてかれて殴られて蹴られて、言う事聞かされて相手が喜ぶことをやらされた。』
Aさんからは大粒の涙がボロボロ溢れてくる。
『でも、それが間違えだってことを教えてくれる人がいて、私に今まで教えてくれなかった色んなことを教えてくれた。普通の人がどういう風に生きてるのか。食べ物の美味しさ。あそこから逃げる方法を』
｢その人は今どこに？｣
『死んじゃった。私を助けようとして…真っ赤に血が流れて動かなくなて冷たくなってどこかへ連れてかれた』
Aさんから出てきた言葉は冷たかった。
｢もう大丈夫です｣
ボロボロと涙がこぼれ落ちるAさんに語りかける。
｢もう心配ないです。警察がAさんを守ります。絶対に｣
『本当に？』
｢本当です。私が守りますだからもう泣かないでください｣
話を聞いている身だがこっちまで苦しくなる。
当の本人はもっと辛いはず。
子供のようになきじゃくるAさんが泣き止むまでそばに居た。
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にる(プロフ) - ｔｋｔさん» ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2020年8月25日 2時) (
レス) id: 6400c0deab (このIDを非表示/違反報告)
ｔｋｔ - 凄く面白いです！更新も早くて嬉しいです。頑張って下さい！ (2020年8月24日 20時) (レス) id: 5db39da5e6 (このIDを非表示/違反報告)
にる(プロフ) - vivi16さん» コメントありがとうございます！ (2020年8月24日 12時) (レス) id: 6400c0deab (このIDを非表示/違反報告)
vivi16(プロフ) - 九ちゃんメイン少ないんで嬉しいです！更新頑張ってください！ (2020年8月23日 23時) (レス) id: f899e34cf3 (このIDを非表示/違反報告)
にる(プロフ) - になさん» コメントありがとうございます！嬉しいお言葉ありがとうございます！ (2020年8月23日 18時) (レス) id: 6400c0deab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にる | 作成日時：2020年8月22日 16時
