Lost propert

13 ページ13

ペットと言われて傷ついた。

でも、それが夢子さんから見た私は。

『ペットか…』

でも、家で轟くんを待つしかできない私はそうなのかもしれない。

もしかしたら、珍しくて興味本位で助けてくれただけなのかもしれない。

考えれば考えるだけ、苦しくなる。

｢何傷ついちゃった？｣

買い物袋を持ち、家に向かっていると声をかけられた。

声をかけてきたのは夢子さん。

『こんにちは』

｢傷つくくらいなら、早く洋介の傍からいなくなりなよ｣

『…』

｢なんなの？洋介のことが好きなの？それとも、お金としか思ってないの？｣

『分からない好きなのか。今まで、あんなに優しくしてくれた人いないから。でも、轟くんとはもっと一緒にいたい。轟くんのために何か出来るのであればやりたい。でも、今は何をしたらいいのか分からない…』

私が打ち明けると、夢子さんは黙り込んでしまった。

『真っ暗だった私の視界がぱっと明るくなったんだ轟くんのおかげで』

｢何よそれ…ズルくない？悲劇のヒロイン！幼馴染じゃインパクト負けるんだけど！｣

『え？』

予想外の返答に、びっくりした。

もっと何か言われるのかと思ってたのに。

｢私てっきり、洋介の顔で選んで転がり込んでる女だと思ってたんだけど。なんかわけアリな感じ。高校行ってないの？｣

『うん。高校行ってない。学校自体あんまり行ったことない』

｢えー！何それ可哀想じゃん！友達は？｣

『いない…轟くんだけかな。そもそも友達って言っていいのかな…』

友達と言うより世話をしてくれてる人だ。

｢いや、言っていいでしょ？ちょっとムカつくけどそこは譲るよ｣

なんだか、全然印象が変わってしまった。

冷たい子だなって思ってたら意外と優しい。

『あ、ありがとう…』

14→←12

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す