399.不眠症 ページ2
・
「……ミンジュンさんが帰る前、聞いてきたんだよね。ここ数日ナナはちゃんと寝れてるかって。でもナナっていつもいちばん遅く寝ていちばん早く起きてるでしょ？ だからナナと同じ部屋のメテュとテレもわかんなかったみたいで……そもそもどうしてそんな質問を？って戸惑ってたんだけど、ミンジュンさんが『お前ら知らないのか、いや、あいつがわざわざ言うわけねーか』って教えてくれたんだよね。
ナナはいつも寝付きが良くないけど、毎月のここら辺は特に酷いし、なんなら一睡もしない時もあるって。だから気に掛けてほしい。コーヒーとか寝付きに悪いものはなるべく飲ませないでほしい、変なことを考えすぎないように寝る前はしょうもない楽しい話でもして気を紛らわせてほしい、寒がりだからあったかくしてベッドに放り込んでほしい、って」
「……えっ、」
(ミ、ミンジュン兄さん……！！！！！ 余計なことを………！！！！！！)
ハンビンがかなり気まずそうな顔で言ったそれ。ミンジュン兄さん、チクったな。気にかけてくれる気持ちは嬉しい。嬉しいけれども。勝手に言っていいことと悪いことがあると思う。
頭の中で「ごめん！ 反省してまーす」とニヤニヤピースをしているミンジュン兄さんが浮かびながら「ちがっ、違うの！」とハンビンに弁明しようとすると、ハンビンは悲しそうな顔で「……本当に？」と聞いてきた。
「違わないから、次の生存者発表会までって期限付きで寝る前に一緒に話したいなんてお願いしたんじゃないの？ ちょうど一週間くらいでしょ？ ナナ、誤魔化さないで」
「……う……ごめん、なさい……」
「いいよ。……でも、教えてくれる？ その……ナナが寝付きが悪いのはヨンジュさんのことがあったから？」
「……う、ん。でも、今はだいぶマシにはなったの。昔は通院して、カウンセリングをしたり薬を貰ったりして、そうしないと全然寝れないってくらいだったから……」
ヨンジュが居なくなった9日から、お葬式と告別式があるまでの約一週間。私にとって地獄だったあの期間。寝れずに毎日吐いて泣いていたあの日々を、私は今も忘れられない。はっきり覚えている。
私のせいでヨンジュを死なせてしまったあの日から眠りにつくのが怖いし、一人のうのうと眠りにつく自分が許せなくて。私があの時——。そんな思いからどんどん睡眠時間が減って、特に毎月、この期間になると寝つきは悪いし寝れたとしても夢見がだいぶ良くないのだ。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1977人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アップルパイ(プロフ) - Rさん» いつもありがとうございます！ 久しぶりの更新になってしまい申し訳ないです🥲 また早めに更新できるように頑張るのぜひ楽しみにしていただけたら幸いです……！🙇🏻♀️՞ (1月9日 10時) (
レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
R - いつも楽しく読ませて頂いています！更新楽しみに待ってます！ (1月8日 2時) (レス) id: 0e71c92fc7 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ(プロフ) - おーるいんさん» こちらこそ読んでいただきありがとうございます！ そう言って貰えると更新する活力になります〜！ これからもソンハンビンくんたくさん出てくると思うので、楽しみにして貰えたら嬉しいです☺️ (12月9日 0時) (レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
おーるいん - 忙しい中更新ありがとうございます！めちゃくちゃ大好きなお話で、毎回とっても楽しみに待ってます！ハンビンのストーリー多くて嬉しいです^_^ (12月3日 8時) (レス) @page13 id: 50f65acc84 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ(プロフ) - abcdさん» ありがとうございます！ 展開がゆっくりな分、なるべく更新は早くできるように頑張ります！ これからも楽しんで頂けたら幸いです🙌 (12月2日 1時) (レス) @page14 id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アップルパイ | 作成日時：2023年11月28日 15時
