「君は悪くない」10

456.腹筋（キム・ギュビン） ページ9

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(ナナ兄さん、この見た目で腹筋割れてたんだ……)

 つい、視線を下げてまじまじとナナ兄さんのお腹を見てしまう。服の上からでも薄さが分かるナナ兄さんのお腹。多分、練習生の中で一番細いし薄いと思う。だから全然想像がつかなかった。ナナ兄さんと腹筋はなんだかミスマッチというか。
 でも、みんながだらだらと好きに過ごしている休日期間でも朝は欠かさずランニングをして。それだけじゃなく筋トレもしているナナ兄さん(最初はあまりのストイックさにみんなちょっと引いていたけれど、今は慣れてプランクや腹筋をしているナナ兄さんに話し掛けるしそのまま会話している)を考えると、N͜͡umber時代は腹筋が割れていたというのもおかしなことじゃないのかもしれない。きっとN͜͡umberだったときも今と同じくらい、もしかしたら今以上にストイックに過ごしていただろうから。

 フェテク兄さんもナナ兄さんに腹筋があることは知らなかったのか、「え、ナナってちゃんと腹筋割れてたの？ 痩せすぎて浮き出てるじゃなく？」とちょっと驚いていた。


「あれ、フェテク兄さんも知らなかったんですか？」

「うん、初耳。まあナナは腹筋とかあっても自分から見せたり自慢するタイプじゃないでしょ」

「ハハ……別に誰かに見せるために作ったわけじゃないですしね。気づいたら出来てたみたいな……。それにヨンジュやミンジュン兄さんほどバキバキに6つに割れてる、とかじゃないから自慢するには全然ですよ。恥ずかしい」

「え〜、もったいない……」


 ナナ兄さんらしいっちゃらしいけれど、腹筋は見せてなんぼだと思う。というか俺が見たい。




「……ちなみに今は割れてるんですか？」

「あー……ちょっとは割れてる、のかなあ……。でも今はさっきフェテク兄さんが言ったみたいに鍛えて割れたんじゃなくて、単に痩せすぎて浮き出てるみたいな感じだよ」

「それ、見せてくれたりは……」

「しないからね？」


 そう被せるように言って、守るようにばっとお腹を抱えるナナ兄さん。


「えー、ちょっとくらいいいじゃないですか。こう、一瞬だけチラッと見せてくれるだけでいいんで！」

「だめ。自分で言うのもあれだけどガリガリで見せれるものじゃないから」

「……どうしてもですか？」

「……子犬みたいな顔で見つめても変わらないからね」

「ちえっ。ナナ兄さんのケチ〜」


 ユジンみたいにじっと見つめたらいけると思ったんだけど、今回はだめみたいだ。





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