「君は悪くない」10

453.少食（キム・ギュビン） ページ6

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 多分、ナナ兄さんは体型管理のために食事制限をしているってわけではなく、本当に食が細くて俺達と同じ量を食べれないんだと思う。それに加えて、食べること自体にもあまり興味が無さそうで。
 自分も事務所から「もっと体重を増やして」と言われてしまうくらいには痩せているけれど、ナナ兄さんと違ってたくさん食べれるし食べることは大好きだから、ナナ兄さんを見ると不思議な人だなと思う。ナナ兄さんは食べても太らないんじゃなく、食べないから痩せているし現在進行形で痩せていく人なんだろう。


(ほんと、何処からあの体力が生まれてるんだろ……)

 ダイエット中の女性アイドル？って感じのご飯をちまちまと食べるナナ兄さんを思い出しながら、「ナナ兄さんって食べること好きじゃないんですか？」と聞いてみれば、ナナ兄さんは「嫌いではないよ」と苦笑いをした。


「美味しいものは美味しいって感じるし、美味しい物食べてる時は幸せだなーって思うよ。ただ、ひとりだと食べるの面倒くさがったり忘れちゃうんだよね……」

「面倒くさいのはまだ分かるけど、忘れるってのがおかしいんだよね。忘れはしないでしょ、食欲って人間の三大欲求だよ？」

「いやー……でも食べなくても生きていけるじゃないですか」

「何言ってるの。食べないと人は死ぬでしょ。だから三大欲求の中のひとつなのに」


 はあ、とため息をついてから、フェテク兄さんは「ナナって昔からこういう感じだったんだよ。ひとりにすると食べないわ寝ないわで人間の生活しないの」と言った。それを聞いたナナ兄さんは「すみません……」と謝りつつも、「でもフェテク兄さんにはあまり責められたくないですよ」とちょっと不満そうにしていて。確かにフェテク兄さんもナナ兄さん程ではないけれど少食だし睡眠時間も短い人だった。




「というか、普段夜食したりしないナナ兄さんがどうして今日はしてたんです？ 夕ごはん食べ損ねたんですか？」

「や、ちゃんと食べたよ。なんならいつも以上に食べたよ。減らしたりあげたりせずみんなと同じ量！ すごくない？」

「異常が普通になっただけなんで別にすごくはないですよ」

「すごく頑張ったんだけどなあ……。ハンビンとか今日は珍しいね、いつもそうならいいのにって俺が食べ終わるまでニコニコずっと見てたよ」


 そう言ったナナ兄さんは一瞬、考え込むような素振りを見せて。でもすぐに「食べ終わったあとかなり苦しかったしさー」と笑った。





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