451.正体（キム・ギュビン） ページ4
・
夜。フェテク兄さんを探して宿舎を歩き回っていたら、階段下の方からフェテク兄さんが誰かと話しているような声が聞こえて。やっと見つけた！と思わず階段を駆け下りつつ上から見下ろせば、階段脇のソファにフェテク兄さんが座っているのが確認できた。
「フェテク兄さん〜〜〜〜！！！！」
立ち止まって大きな声で呼べば、気付いたフェテク兄さんがこっちを見上げてくれて。
「お？ ギュビン？」
「はい！ フェテク兄さんが部屋に居ないからわざわざ探し回ってたんですよ！」
「そうなの？ なんかあった？」
「いや、いつも通りただ寝る前にちょっと話したかっただけですよ。……あ、このにおい……もしかしてラーメン食べてます！？」
ふと、カップラーメン独特の強いにおいがした。ここからじゃちょうど見えないけれど、たぶん夜食として食べているんだろう。いいな、俺も食べたい。
そう思いながら聞けば、フェテク兄さんが「ああ、僕は食べてないけどね」と少し笑いながら答えた。つまり、ラーメンはフェテク兄さんの隣に座っているのだろうフェテク兄さんの話し相手が食べているようだ。ここからじゃちょうど死角になっていて見えないけれど。
(誰だろ、フェテク兄さん以外のアンガードのメンバーは部屋に居たし……。アンガード以外で、フェテク兄さんと仲が良くて、こんな時間でも気にせずラーメンを食べる……あと俺がいるって分かっても何も反応がないから、たぶんあんま話したことない練習生……。そんな練習生いたかなあ〜？)
関わりが少ない練習生だったら気まずいかな。そう思いつつも、誰かはめちゃくちゃ気になるし、まあこれがきっかけで仲良くなればいっか！と考えて。また階段を降り始めた。
そうやって下りていくうちに、死角が無くなって。ピンク色の髪が見えた。
「……あれっ？ ナナ兄さん？？」
ピンク髪の練習生なんて、ひとりしかいない。ナナ兄さんだ。確かにナナ兄さんは『En Garde』以外で、フェテク兄さんと仲が良いけれど。それでもフェテク兄さんの話し相手がナナ兄さんだったとはちっとも想像してなかったから、つい目を見開いてしまった。
「んぐっ、」
「わっ、ナナ大丈夫？ ……あ、ごめんって。でもバレちゃったんだから名前出しても出さなくても一緒でしょ」
俺が「ナナ兄さん」と口にしてすぐ、噎せるような音がして。続けてフェテク兄さんが笑いながらそう言ったから、やっぱり正体はナナ兄さんだ。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2016人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アップルパイ(プロフ) - なっちぃさん» コメントありがとうございます。楽しんで読んでいただき本当に幸いです！ 更新空いてしまって申し訳ないです。なるべく更新ペース上げれるようにしたいので、これからもよろしくお願いします！🥲 (3月3日 23時) (
レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
なっちぃ(プロフ) - コメント失礼します。楽しく読ませてもらってました！更新待ってます；； (3月1日 5時) (レス) id: 0ee3ec3e27 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ(プロフ) - ビニさん» コメントありがとうございます！🥲💕 こちらこそいつも読んでくださりすごく嬉しいです。更新頑張ります！🙌 (2月7日 17時) (レス) @page17 id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
ビニ - いつも楽しく読ませて頂いております！お話の続き楽しみです、更新まってます！🥰 (2月5日 1時) (レス) @page6 id: 0e71c92fc7 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ(プロフ) - abcdさん» いつも読んでくださりありがとうございます🥲💕 更新空いてしまう時もあるのですが、なるべく早く更新して完結させたい気持ちはあるのでこれからも頑張ります！ (1月28日 15時) (レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アップルパイ | 作成日時：2024年1月25日 19時
