476.お蔵入り ページ29
・
「……そういえばミンジュン。話は変わるんだけど、ずっと気になっていたことがあるんだよね」
ウムティ兄さん、カムデン、ブライアンと別れて(三人はそれでもやっぱりミンジュン兄さんに謝った方がいいんじゃないかと不安そうだったけれど、「次のレッスンで良いパフォーマンスを見せたらそれでいいと思いますよ、そもそもミンジュン兄さん大抵のことは時間が経てば『そんなことあったか？』って忘れてくれるので」と言ったら納得してくれた)。一応ミンジュン兄さんの様子だけチラッと見たいなと食堂に行ってみると、そんなヨンジュン先生の声が聞こえた。
ヨンジュン先生、あの後ミンジュン兄さんのとこに行ってたのか。食堂に入るのをやめて、盗み聞きも良くないし、多分ヨンジュン先生と話してミンジュン兄さんも落ちついただろうから練習室に戻ろうと考えていたときだった。
「さっきナナと話したときにふと思い出して聞こうかなって思ったんだけど、ナナ本人に聞くのはちょっと良くないかなあって。でもやっぱり気になるは気になるから」
(……さっきヨンジュン先生が言いかけたこと、だよね……？)
盗み聞きは良くないと分かってはいるけれど、思わず耳を澄ましてしまう。私に聞きたかったけれど、聞けなかったこと。一体何だろうか。
ヨンジュン先生の言葉に、ミンジュン兄さんは「ん？ なんすか？ 俺が知ってて言えることなら代わりに答えますけど」と不思議そうに返した。
「ありがとう。なら単刀直入に聞くけど……『Helleborus』は、もう公開するつもりはないの？」
どきりとした。今ヨンジュン先生が口にした『Helleborus』は、2020年11月11日——N͜͡umberの二周年の記念日に予告を出す予定だった、N͜͡umber初のフルアルバム表題曲のタイトルだった。ヨンジュのことがあって発表できず、結局お蔵入りになってしまった曲。
ウンギとテレと話していたときに少し思い出していたから、あまりのタイミングの良さ(悪さと言ってもいいかもしれない)にびっくりしてしまった。
「あ。あー……そうか。ヨンジュン先生も制作に携わったんだからそこら辺ちゃんと言わないと駄目でしたよね。すみません」
「いや、それは全然いいんだよ。報酬はもう貰ってるから、好きにしてくれて。そもそも君達の曲だからね。……ただ、やっぱりもったいなかったなって。最近の流行り曲を聴くと思うんだよね」
そう、ヨンジュン先生は寂しそうに言った。
・
477.『Helleborus』→←475.心配だったから（チェ・ヨンジュン）
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2016人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アップルパイ(プロフ) - なっちぃさん» コメントありがとうございます。楽しんで読んでいただき本当に幸いです！ 更新空いてしまって申し訳ないです。なるべく更新ペース上げれるようにしたいので、これからもよろしくお願いします！🥲 (3月3日 23時) (
レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
なっちぃ(プロフ) - コメント失礼します。楽しく読ませてもらってました！更新待ってます；； (3月1日 5時) (レス) id: 0ee3ec3e27 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ(プロフ) - ビニさん» コメントありがとうございます！🥲💕 こちらこそいつも読んでくださりすごく嬉しいです。更新頑張ります！🙌 (2月7日 17時) (レス) @page17 id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
ビニ - いつも楽しく読ませて頂いております！お話の続き楽しみです、更新まってます！🥰 (2月5日 1時) (レス) @page6 id: 0e71c92fc7 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ(プロフ) - abcdさん» いつも読んでくださりありがとうございます🥲💕 更新空いてしまう時もあるのですが、なるべく早く更新して完結させたい気持ちはあるのでこれからも頑張ります！ (1月28日 15時) (レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アップルパイ | 作成日時：2024年1月25日 19時
