「君は悪くない」10

475.心配だったから（チェ・ヨンジュン） ページ28

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「俺が好き勝手やって俺が文句言われるのは別にいいんですよ。フツーに自業自得なんで。でも今回はナナがいるから。元は同じグループのメンバー同士だったし、俺がやらかしたらナナも白い目で見られる。俺はサポート役でしかなくて、メインはナナだから、そこを弁えて我慢したんです」

「……ミンジュン、そんなこと考えてたんだ」

「そりゃ俺だって考え無しのバカじゃないですから。そもそもこの番組だってナナがいるから断るつもりだったんすよ。だって身内の俺が参加したら、番組からしたら面白いけど見てる側にはズルとか色々言われるかもしれないじゃないですか。ただでさえあいつは元の知名度やらで叩かれやすいのに。でも……」

「……ナナが心配だったから？」


 言い淀んだミンジュンに笑って付け足せば、ミンジュンは思いっきり眉をひそめて苦虫を噛み潰したような顔を見せた。ひどい顔だけど、多分照れているのだろう。
 笑う自分を見て、ミンジュンは「まあポジションバトルでのことがあったし、結果的に良かったですけどね」とわざとらしく咳払いをした。


「こういうのはシアンのが向いてるし、曲は俺が書くからスペシャルマスターはお前がやれって言ったら無茶言うなって返されたから、仕方なく俺が行くことになったんですよ」

「そりゃシアンは無理だろうね……」


 前にミンジュンが愚痴のように言っていたけれど、シアンはビジュアルだけじゃなく演技力も買われ、一年先までスケジュールが組まれているくらいの売れっ子俳優だ。どうやら、事務所にたくさん仕事を入れられているというよりは、自分から多忙になるようとにかく仕事を受けているようだった。きっと、多忙である方がN͜͡umberで起きた悲劇を思い出さずに済むからなんだと、自分は予想している。
 そんなシアンはスケジュールを一日ズラすこともかなり大変そうで、数週間トレーナーをするために宿舎に通うなんて不可能だろう。

 


「とにかくここで笑えないようなキレ方しないようにしてるんですよ。……で、さっきはあのまま居たら爆発しそうだったから退散しました。ヨンジュン先生には迷惑をお掛けしました、すみません」

「いや、本当に大丈夫だよ。それだけナナが大切なんだね」

「……マジでナナにチクらないでくださいよ」

「分かってるって」


 やっぱりN͜͡umberは良いグループだ。仲が良くて、お互いを想い合っている。
 微笑ましくも悲しくも思いながら、自分は頷いた。





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