469.酷い態度 ページ22
・
「……ヨンジュン先生？」
『Switch』の練習室から出てきたのは、練習生ではなく、ちょっと疲れた表情をしたヨンジュン先生だった。びっくりして目を瞬かせる私に、ヨンジュン先生も「あれ？ ナナ？」と疲れた表情からぱっと不思議そうな顔に変わった。
「あっ、はい。ヨンジュン先生、お疲れ様です」
「凄い偶然だね。ひとり？ 休憩中？」
「休憩中というか、作曲家の方達とのミーティングの帰りで……他のみんなは先に練習室に戻ってます」
「ああ、『Say My Name』はミーティングだったね。ナナがいるから大丈夫だろうけど……どうだった？ 楽しかった？」
ヨンジュン先生の問い掛けに「はい。作曲家の方と話すのはあまり無い経験だったので……」と返せば、「確かにN͜͡umberは曲に関しては全部自分達でやってたからね。良い経験をしたね。でもちょっと気疲れもしたんじゃない？ 結構ペコペコされたでしょ」と笑われて。その通り過ぎて苦笑いを漏らしてしまった。
「あ、それよりヨンジュン先生は……」
「ん？ ああ、今『Switch』のレッスンが終わったとこだよ」
「……今、ですか？」
「うん？ そうだよ。たった今終わったとこ」
それがどうかした？ と口にするヨンジュン先生に、恐る恐る「いや……ちょっと前にミンジュン兄さんが『Switch』の練習室から出ていくのが見えたので……」と返すと、ヨンジュン先生は瞬きをして。それから「あー……それ見てたんだ」と苦笑いをした。
「ミンジュン、レッスンが始まる前はいつも通りだったんだけどね。練習室に入った途端に変わったというか……何も言わなくなったんだよ。普段ならガンガン言うとこだから、あ、これ逆にまずいやつかなって思ってたんだけど……予想通りまずいやつだったというか。結局出てったんだよね。でもレッスンの時間はまだあったし、俺一人でやってたんだよ」
「あー、なるほど……だから……。本当にすみません……ミンジュン兄さんがご迷惑をお掛けしました……」
「いや、いいよ。……ミンジュンさ、出て行く前に『お前ら本当にアイドルになりたいのか？ なりたいやつの態度じゃねえだろ、これは』って言ったんだけど……その言葉通り、さっきの『Switch』のレッスン酷かったから。正直、ミンジュンが出て行ったところで俺も出て行こうか迷った」
「……そ、そんなにですか？」
私が聞き返すと、ヨンジュン先生は「そんなにだよ。叱る気も起きないくらい」と小さく笑った。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2016人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アップルパイ(プロフ) - なっちぃさん» コメントありがとうございます。楽しんで読んでいただき本当に幸いです！ 更新空いてしまって申し訳ないです。なるべく更新ペース上げれるようにしたいので、これからもよろしくお願いします！🥲 (3月3日 23時) (
レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
なっちぃ(プロフ) - コメント失礼します。楽しく読ませてもらってました！更新待ってます；； (3月1日 5時) (レス) id: 0ee3ec3e27 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ(プロフ) - ビニさん» コメントありがとうございます！🥲💕 こちらこそいつも読んでくださりすごく嬉しいです。更新頑張ります！🙌 (2月7日 17時) (レス) @page17 id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
ビニ - いつも楽しく読ませて頂いております！お話の続き楽しみです、更新まってます！🥰 (2月5日 1時) (レス) @page6 id: 0e71c92fc7 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ(プロフ) - abcdさん» いつも読んでくださりありがとうございます🥲💕 更新空いてしまう時もあるのですが、なるべく早く更新して完結させたい気持ちはあるのでこれからも頑張ります！ (1月28日 15時) (レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アップルパイ | 作成日時：2024年1月25日 19時
