「君は悪くない」10

468.不機嫌の理由 ページ21

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(……ミンジュン兄さんが本気で怒るようなことが、『Switch』のレッスンであったってことだよね？ いや、でも……)

 本当に嫌なことを思い出しちゃったなあ、と後悔しながらも思う。

 さっきのミンジュン兄さんも確かに拳を握りしめていたし、その拳は震えていた。だからやっぱりめちゃくちゃ怒ってるんだろうけど(耳と勘がいいミンジュン兄さんが私やウンギ、テレの声に気付かないというのもおかしいし、あまりにイライラしてたから無視したんだろう)、その理由が分からなかった。
 いくらレッスンでみんなが不出来だったとしても、流石にそこまでにはならないというか。ミンジュン兄さんがこの番組中に不機嫌にならないようには願ってはいたけれど、その不機嫌が想像よりもずっとずっと酷くてびっくりしてしまった。不機嫌になっても放送禁止ワードを言いまくるくらいだと。



「……あのさ、俺ちょっとミンジュン兄さんに話すことあるから先行っててくれない？」

「？ わかりました」

「ありがとう。もしかしたら遅くなっちゃうかもだからハンビンにも言わなきゃ。えっと……」

「あ、ハンビン兄さんにあとで言っときますよ」


 そう言ってくれたテレに「本当にありがとう。お願い」と返すと、隣にいたウンギが「あっ！ そうだ！ ついでにミンジュンさんが次いつレッスン来るか聞いておいてくださいよ！」と頼んできて。呑気にそれが聞ける状況かは微妙だけど、とりあえず「わかった、聞いとくね」と笑って頷いておいた。




(まずはミンジュン兄さんを探さなきゃ……)

 ウンギとテレと別れて、息をついて考える。もしかしたらもう帰ってしまったかもしれないけれど、とりあえずミンジュン兄さんを探してみよう。宿舎中探していなかったら『Switch』の誰かに事情を聞けばいいし。


(疲れている時やイライラしている時、ミンジュン兄さんはいつも以上に甘いものが欲しくなる……だから……食堂？)

 ご飯を食べ終わって食器を片付けていたとき、食堂のスタッフの方に「ミンジュンさんって本当に甘いものが好きなんですね」と言われたことを思い出す。どうやら、レッスンの合間合間にミンジュン兄さんは食堂で休憩をしていたみたいだけれど、その度にスタッフさんに甘いものをリクエストして食べまくっていたらしい(シアン兄さんが知ったらまた呆れて小言を言いそうだ)。

 よし、食堂に行こう。そう決めて歩き出そうとした時、ちょうど扉が開く音がした。





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