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あれから本当にメールが返ってこなくて
少しだけ戸惑い始める。
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遠回しに会いたくないって言ってるのかな、
なんてそんなことさえ思えてきた。
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でも、だったら会おうなんて言わなきゃいいのに。とか
私の勝手な妄想は広がるばかりだった。
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そのとき、スマホの着信音がやっと鳴り出して。
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ただ、それはメールじゃなくて電話で。
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「…もしもし?」
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恐る恐る出ると、電話の向こうから彼の声が聞こえた。
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「家の前にいるから。」
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え、と声を発する隙も与えず電話は切られた。
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「家の前…?」
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私の家なんて知るはずないのに。
まさか、冗談だよね?
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それでも、どこか期待している自分がいて。
私はそっとカーテンを開く。
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そしたら、確かに一台の車が止まっていて。
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なんで?という思いよりも先に足が動いていた。
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「あ、きた」
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玄関から足を踏み出すと、車の中から彼がそういって笑う。
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助手席に乗って、と招かれて少しだけ恥ずかしくなる。
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こんなこと、なかったんだ。
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男の人と会うときは、いつも現地集合で。
だから、向かえにくることも車に乗ることもなかった。
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「…お邪魔します…」
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緊張する私に、
彼は「お邪魔しますって」と笑った。
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不思議な気持ちだった。
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男の人が私に笑いかけてくれることなんてなくて。
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「笑わないでください。」
「ごめんごめん。」
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早く、と急かされるばかりで
会話すらかわさなかった。
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「…とりあえず、飯食おっか。」
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だけど、この人はちゃんと私の目をみて話してくれて。
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私の抱えてることさえ見透かされそうで怖かった。
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マーマレード - 最高過ぎてトゥンクってなりました！りんごさんマジで神！ストーリや設定、内容が分かりやすく、彼の過去についての回想のタイミングにひかれました。 (2021年10月19日 23時) (
レス) @page32 id: 83ebed300e (このIDを非表示/違反報告)
まりはる - 感動しましたぁぁぁ 新作も読みます！ (2017年10月23日 1時) (レス) id: 6b8bf83b3b (このIDを非表示/違反報告)
しい - 凄い面白かったです(=´∀｀)人(´∀｀=) (2015年10月22日 0時) (レス) id: fea0ff3620 (このIDを非表示/違反報告)
美香 - 13話ﾊﾞｸﾊﾞになってます！(^-^; (2015年7月27日 17時) (レス) id: a906beaf6e (このIDを非表示/違反報告)
まいちゃん - ヤバイ〜(//・・//)彼氏欲しい！ (2014年12月7日 10時) (レス) id: a76a289744 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：*琳檎*
| 作成日時：2014年4月26日 23時
