あまい誘惑。[ 名前変換オリジナル ]

19 ( 彼 s i d e ) ページ19

.


.


久々のデート、だった。
普段は誘わないくせに、今日は彼女からの誘いだった。


.


.


「ねー、ここ行こうよ。」
「アクセサリーショップ?」


.


.


久々に見せた笑顔。
それだけで、胸が弾んだ。
どんな心の心境かは知らないけど
凄く、嬉しかった。


.


.


「どうしてここ?」
「…そーいえば、お揃いの物持ってないな、って。」


.


.


それだけ、って口元を緩ませる彼女はほんとに可愛くて。


.


.


「…んん…っ、」


.


.


久々に、唇を奪った。
素直に応じてくれる彼女は、俺のシャツをぎゅ、と掴んだ。


.


.


「優しく、して?」


.


.


そう言われて、ぷつん、と何かが切れた。
その日は結局、外に出ることなく彼女を感じていた。


.


.


忘れることもない、最後の日。


.


.


彼女は、俺を捨てた。


.


.


連絡もとれなくて、会うこともなくて。
とぼとぼ歩いてたある日。


.


.


彼女を、見つけた。
隣に男をつれて、俺に向けてた笑顔を、
その男に向けていた。


.


.


全部、壊れた気がした。


.


.


彼女が愛してたのは、最初から俺じゃなくて、あいつだった。


.


.


俺、遊ばれてたんだ。


.


.


それなら、もう。
とっくに壊れてたんじゃん。


.


.


俺の恋は、最初から叶うはずなんてなかったのに、
バカみたいに追いかけて…
笑われてたんだ。


.


.


必死こいて喜ばせようとしてた、あの頃の俺も。
誘われたままに抱く俺のことも。


.


.


「なんだよ…」


.


.


いつだって彼女は、俺を手の平で転がして
楽しんでいたんだ。


.


.


そこに、愛情なんて…
なかったんだ。


.


.

20→←18 ( 彼 s i d e )

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す