あまい誘惑。[ 名前変換オリジナル ]

17 ( 彼 s i d e ) ページ17

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付き合ってからは、色んな所へ連れて行った。


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女の子が喜びそうな所に、いくつも。
だけど彼女はまるで喜んでくれなくて。
ふふ、って愛想笑いするだけだった。


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だけど、そんな彼女が唯一喜んでくれた店があった。


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「すごく素敵!」


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家から少し離れた、あの店だった。
骨董品なんて、まるで興味ないんだろうな。って、
そう思ってたのに。


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「…マジかよ〜…」


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俺、今まで何してたんだろう。
全部、無駄だった気がした。


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「ふふ、私のために頑張ってたの?」


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がくん、と崩れ落ちた俺の上から
彼女が微笑む。
見せたことのない笑顔で、俺を見た。


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「バカでもなんとでも言えよ…」


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くしゃ、と髪を握りしめたら
彼女の手が、俺の頬にそっと触れた。


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「そういうとこ、好きよ。」


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あまりに可愛く微笑むから、たまんなくて。
気づいたら、唇を重ねていた。
あの時とはまるで違う、優しいキスだった。


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「陵くん、好き。」


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ウソでも、嬉しかった。
その口が言ってんだ、それだけで十分で。


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「…大好き、」


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バカみたいに惚れてたのは、
いつも俺だった。


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