あまい誘惑。[ 名前変換オリジナル ]

15 ( 彼 s i d e ) ページ15

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隣にいた彼女が、泣き出した。


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苦しい、って言わんばかりに涙を流して
顔をしかめる。


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俺じゃ、不満なのかな。
ふと、そう感じて胸が苦しくなった。


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別にコイツじゃなくたって良かった、はず。
目の前にいたのがたまたま、たまたま彼女だったからで。


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特別な感情なんて、ないのに。


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「…」
「…んっ…!」


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キスなんて、なにしてんだ俺。
求めるなら、身体だけで十分だろ?


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特定の女なんて、もう…


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「…ほら、こいよ。」
「い、た…っ…!」


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もう、ごめんだ。
思い出しただけでイライラする。
気づけば彼女の腕をｸﾞｯ、と思い切り掴んでいた。


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優しさなんて、はじめっからいらなかったんだよ。
愛情なんて、無駄だったんだよ。


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こんなのダメだって分かってる。
けど…


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これ以上、何を求めろっていうんだ。


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捨てられた俺の苦しさの、何が分かるっていうんだ。


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昔、愛した女は、もう。


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もう、戻ってこない。


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