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だんだん暗くなる空を眺めながら、車に揺られた。
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口は、全く聞かなかった。
…お互いに。
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やっと口を開いたのは彼で、
「ついたよ」と私に目も合わせずに言った。
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その声は、怒ってるような気がして。
気のせいかもしれないけど、怖い。
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怖さに喉が震えて「あ…」と、かすれた声が漏 れる。
それに気づかない彼は、私の腕をぐいっと引っ張った。
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その瞬間、一瞬だけ私の耳元に唇を寄せて
「抱かれたいんだろ?」と、囁いた。
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そんなセリフ、慣れてるはずなのに。
慣れてる、はずなのに。
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心臓が信じられないほど速く打たれて、
ほっぺが熱くなった。
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ずるいよ。
抱く気なんてサラサラないくせに、
そうやってドキドキさせて。
…ずるいよ。
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「俺の部屋、4階だから。」
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そんな私なんてお構いなしに、平然とそう言った。
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あぁ、やっぱり抱かれたい、な。
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そうやって、私のことなんか気にもせずに、抱いてほしい。
ほんとは気づいてるくせに気づかないふりして、抱かれたい。
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その手で、触れてほしい。
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どうしよう、何もしなくていい、なんて嘘になっちゃった。
ほんとは、今すぐにでも触れてほしいのに。
どうしよう。
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苦しい、こんなの、イヤ。
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「A?」
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私、バカだ。
こんな思いするなら、他の人に頼めばいいのに。
それなのに。
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「どうしたんだよ…」
「…っふ…ぅ…」
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この人じゃなきゃ、意味ない気がして。
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違う、こんなの、信じたくない。
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「言わなきゃ分かんねぇだろ?」
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本気になんか、なりたくない。
傷つくのは、目に見えてるのに、のに…
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胸が、苦しい、よ。
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マーマレード - 最高過ぎてトゥンクってなりました！りんごさんマジで神！ストーリや設定、内容が分かりやすく、彼の過去についての回想のタイミングにひかれました。 (2021年10月19日 23時) (
レス) @page32 id: 83ebed300e (このIDを非表示/違反報告)
まりはる - 感動しましたぁぁぁ 新作も読みます！ (2017年10月23日 1時) (レス) id: 6b8bf83b3b (このIDを非表示/違反報告)
しい - 凄い面白かったです(=´∀｀)人(´∀｀=) (2015年10月22日 0時) (レス) id: fea0ff3620 (このIDを非表示/違反報告)
美香 - 13話ﾊﾞｸﾊﾞになってます！(^-^; (2015年7月27日 17時) (レス) id: a906beaf6e (このIDを非表示/違反報告)
まいちゃん - ヤバイ〜(//・・//)彼氏欲しい！ (2014年12月7日 10時) (レス) id: a76a289744 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：*琳檎*
| 作成日時：2014年4月26日 23時
