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食事を終えて、彼の車に乗り込んだ。
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「あの、ごちそうさまでした。」
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いつも、こんなこと言わないのに。
自然とこぼれた言葉にびっくりした。
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全然、と笑う彼の笑顔はふわふわしてて。
それが更に私を苦しめた。
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「あの…」
「ん?」
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私と、いない方がいい。
そう言いたいのに言えなくて。
手放したくないのが、分かった。
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こんなに優しい人、他にいない。
俺にしろ、って言ったのは。ただの口実で。
きっと、私が男と触れ合わないようにする為だった。
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だからと言って、特別な感情があるわけでもなくて。
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だから、抱いてくれないなら…突き放して。
優しく、しないで。
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変な期待、持たせないで。
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そう考えてるのが伝わったのか、彼は信号が赤になったのを見て、ｽｩ､と息を吸った。
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「俺んち、来る?」
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私の目をじっと見つめて、そう言った。
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「…来る?」
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不安そうにもう一度、私に問いかけると
ふわ、と甘い香りが鼻をくすぐった。
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伸びてきた指先がそっと髪の毛に触れる。
そっちが、誘ってるの?
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そんなことされたら、嫌っていわれてもついてっちゃうよ。
そんな余裕をかましてるくせに、心臓はﾊﾞｸﾊﾞだった。
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「何、してくれるの?」
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誰かにときめいたのも、初めてで。
こんなこと言うのも、初めてで。
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「それは」
「やっぱり言わないで。」
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嫌だっていわれればそれで終わりだった。
それ以上、求めることなんてなかったのに。
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「…いく。」
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嫌だと言われても、抱かれなくても、一緒にいたいと思えたのは。
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「何もしなくて、いいから…」
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きっと、この人が初めてだった。
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マーマレード - 最高過ぎてトゥンクってなりました！りんごさんマジで神！ストーリや設定、内容が分かりやすく、彼の過去についての回想のタイミングにひかれました。 (2021年10月19日 23時) (
レス) @page32 id: 83ebed300e (このIDを非表示/違反報告)
まりはる - 感動しましたぁぁぁ 新作も読みます！ (2017年10月23日 1時) (レス) id: 6b8bf83b3b (このIDを非表示/違反報告)
しい - 凄い面白かったです(=´∀｀)人(´∀｀=) (2015年10月22日 0時) (レス) id: fea0ff3620 (このIDを非表示/違反報告)
美香 - 13話ﾊﾞｸﾊﾞになってます！(^-^; (2015年7月27日 17時) (レス) id: a906beaf6e (このIDを非表示/違反報告)
まいちゃん - ヤバイ〜(//・・//)彼氏欲しい！ (2014年12月7日 10時) (レス) id: a76a289744 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：*琳檎*
| 作成日時：2014年4月26日 23時
