異名で決まる世界 ＿2＿

41話:ハルの無事 ページ1

ルイさんを引き連れてまたさ迷う、敵が居たら«言霊»で縛り付け«言霊»で気絶させるを繰り返して歩き続ける。





『何人殺ったんでしょうか…』

「数えてないので分かりません」

『ですよね』





なんだか漢字間違えた様な気がするが、気のせいだろうし多分ある意味間違ってはいないだろう。





「…っ！」

『！どうしました』

「いえ…腕が痛かったので…お気になさらず」

『(うーこんな時こそハルが要れば！)』





心の中でハルとルイさんと戦っていたロイドさんの心配と医療に詳しくない俺でモヤモヤしていた。







俺は«言霊»でルイさんの骨折を治せなかった







自分の怪我や身体能力は幾らでも上げられたり治せたりするが他人にはできない事がさっき判明した。

身体能力は化け物になれたりさっきの披露会であんな事ができた癖にこの戦争を止められなかったり他人の怪我を治せないのはどういう基準なんだと一人勝手に自分に対して怒る、腹立つ、とても腹立つ。





『…この辺だな、ルイさん、
ちょっと俺電話かけますね』

「はい…」





しばらく歩き続けて人目のつかない所にとりあえず着いた、ルイさんは疲れたのか痛むのかへたり込む様に座った。



ポケットから青いスマホを取り出して【翠鳥ハル】に電話をかけてみる。

どうか繋がれよー…無事でいてくれ捕まっていないでくれと本気で願いながら。








…ガチャ








とても早く取り出された、もしもしと言うとハルの疲れ切った声が聞こえた。





「{ハァ…A君無事かい！？}」

『俺は無事だ、今何処にいる』





できる限り相手にギリギリ聞こえる程度の小さな声で話す、そして居場所を聞いてハルの元へと向かう計画を一人立てていた。

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