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パッと離された手。軽く押されてぴったりと密着していた体はいとも簡単に弾かれたように離れる。さっきよりも開けられた不自然な距離になんとも言えない気持ちになる。
「や、あの、ね！ これは！」
「……それは勘違いやで」
今まで合わせてくれていた目は不自然に伏せられて遠くを見つめている。私も釣られて自分のローファーをみつめた。
「百合は今までちゃんと好きになったことがなくて、友達がおらんくて、それで、錯覚してるだけや」
「……」
さらりと酷いことを言われているような気がするけど真実だから何も言えない。初めてできた友達が男の子だったから好きの感覚が違うのかもしれない。その好きを恋心としての好きと勘違いしてしまったのかもしれない。
「……そうだよね」
言い聞かせるために絞り出した言葉は思いのほか出ていなくて、掠れていて、今にも消えてしまいそうだ。
もう夜になるというのにジリジリと鳴く一匹のアブラゼミの声が聞こえる。場違いなもの同士何故だか親近感が湧いてしまう。
嫌な沈黙が続く。最近ではお互い無言でも、どちらかがスマホをいじってても気まずい空気なんてなくなったのに今はそれが辛い。隣を歩くゾムくんをこっそり見上げれば私とは反対側に目を向けている。何を考えているのかはさっぱりわからない。
「忘れて」
「……」
「きっとすぐ勘違いだって気づくから」
薄暗い道はただただ昼間とは違う蒸し暑さが残る。
失恋したら泣いちゃうもんだと思っていた私の目には涙は一滴も溜まらなかった。今この世界で一番不幸なのは私だとも思わないし、悲しくもない。きっとこれがこの気持ちは恋じゃないと言う証なのだろう。
ゾムくんは友達。優しくて、頼りになる男友達だからかっこよく見えて、他の男の子とは違うように見えるだけ。違う感情を抱いてしまうだけ。
じっとりと額に滲む汗は蒸し暑いから、夏のせい。胸がこんなに痛むのは友達に特別な感情を抱いてしまいそうになった罪悪感。
こんな風に想ってしまうのは全部夏のせいだ。
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有馬(プロフ) - リンさん» コメントありがとうございます！すみません、めちゃくちゃ笑っちゃいましたwww (2020年6月26日 14時) (
レス) id: adf3e71480 (このIDを非表示/違反報告)
リン(プロフ) - わい、HNのリンで名前入れてるんですが、名字と合わせると「ゆりりん」で嫌な女っぽい名前になりました(無駄報告) (2020年6月26日 14時) (レス) id: dc9aff3977 (このIDを非表示/違反報告)
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